東北芸術工科大学は、東日本大震災直後の2011年5月に、復興プロジェクトセンター「TRSO(Tohoku Revival Services Organization = 東北復興支援機構)」を設立し、「東北に根をはる芸術大学ができる復興への貢献とは何か」を自らに問いながら、被災地域への支援プロジェクトを、学生と教職員が一体となって継続してきました。
学生ボランティアバスの運行、避難所等での出張ワークショップ、原発事故被災地域の子どもたちを対象とする林間学校、自主避難した家族同士の交流ピクニック、チャリティーオークションの実施、「震災を語り継ぐ」教材や書籍の制作など、震災以後の情勢の変化のなかでTRSOから様々な社会貢献プロジェクトやネットワークが生まれました。
6年にわたるTRSOの活動は今後、未来において真価が問われることになりますが、本学にとっては「足元にある地域」が直面する課題や可能性を、改めて見つめ直す大きな契機になりました。その経験知は「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」をはじめとする地域連携推進事業に受け継がれています。
TRSOを拠点とした〈復興〉のための活動は、東日本大震災の発生から6年目を迎えた本日をもって終了いたします。今日まで本機関の活動趣旨にご賛同いただき、様々なご協力を賜りました多数のアーティストの皆様、企業、団体、学校関係者の皆様、プログラムに参加いただいた参加者の皆様に、深く御礼を申し上げます。TRSO終了後も“新しい社会、新しい東北の創造とその担い手の育成”は、本学のミッションです。今後も時代のニーズにあわせた創造的な社会貢献活動を、皆様とともに東北各地で展開してまいります。
2017年3月11日 東北芸術工科大学
TRSOの活動は終了しますが、公式ウェブサイトは6年間で実施してきた復興支援プロジェクトの活動記録(2011〜2016)として公開を継続します。また、この度のアーカイブ移行にあたって、影絵師・川村亘平斎氏の「東北影絵芝居プロジェクト」(2015~1016)と、和合亮一氏の連投詩『詩ト詩ト歩ク/詩ト詩ト語ル』(2016)の特設ドキュメントサイトを、新たに制作・公開いたしました。TRSOから生まれた市民とアーティストによる創造の記録が、東日本大震災を伝える資料として、今後もひろく長く読み継がれていくことを願ってやみません。
東北芸術工科大学 TRSO(2011-2016)
プログラムディレクター:宮本武典
事務局スタッフ:須藤知美、立花泰香、役野友美、伊藤迪子、土屋香奈、伊藤眸