- エピソード5 | 高田悠子・ときあ
- カタカタカタカタカタ…コトコトコト…
私が小さいころ暮らしていた家に小人が住んでいた。
手のひらくらいの大きさでリアルな顔。
少し恥ずかしそうにやさしく笑っている。
木靴をはいていて、いつも家の階段の上から2段目くらいに座ってた。
今もその家の階段には、小さな靴跡のような跡が何個かある。
カタカタカタカタカタ…コトコトコト…
姿が見えない時も、小さな靴音のようなものがきこえたりもした。
昔から、なくしものは不思議と見つかってきた。
今でもそう。
それはそっと小人が持ってきてくれているのだと思う。
そーーっと、そーっと。
自分が届けていることを気づかれないように。
カタカタカタカタカタ…コトコトコト…
-