エピソード6 | 倉成敏枝・はる
ロッコノセキブツ
岩手には、数多くの山があるんだ。
森の南西にある南昌山には、山の神様が住んでいるという伝説がある。
南昌山は古くから金鉱を司る霊峰として地元の信仰を集めていて、山中には白竜が住んでいて、暴れるとどっけを吐いて雨雲を起こす。
雨乞い信仰の6体の石仏が奉納されてるんだけど、南昌の権現様として今も親しまれているんだ。
雨が降るように、雨降ってけろじゃあって権現様に雨乞いをしていたようだよ。
山の様子を眺めては、明日は晴れるとか雨だとか、天気を読んでいたんだろう。
岩手の語源となった鬼の伝説では、石神のみついし様に退治された鬼は、南昌山へどんすかどこどこと逃げ去ったという伝説もある。
どんな山でもちゃんと神様は住まわれている。
物の怪や、妖怪も一種の山の神。
きちんと拝まないと祟り神になって、里に災いをもたらすと言われてるんだ。
ロッコノセキブツ
川村回想| ロッコノセキブツというタイトルは、カタカナにして眺めているともはや何のことだかさっぱりわからないのが気に入っています。山は多くの物語を残します。このエピソードにも、たくさんの興味深い話が眠っています。龍は水のキーワードとともに語られることが多く、後述の【バババババ ッ ゴロゴロゴロ オヒャラドンガ】でも、龍神は雨とともに登場します。南昌山の石仏を調べてみると、獅子頭のような石仏が並べられていてかなり古そうです。「ドントハレ」に登場した鬼のその後が、このエピソード語られます。肩を落としてセキブツの横を歩く鬼を演じながら、「頑張れ、鬼。」と思いました。