エピソード12 | 山田華子・ことみ
バシバシッ フクハウチオニハソト
子供のころ、節分に豆まきをしていました。
私が住んでいたのは昔の家なので、たくさんの窓や扉がありました。
全部の窓や扉から外へ向かって豆をバシバシっと投げていきます。
バシバシッ フクハウチオニハソト
鬼は強いから、バシバシッと強く豆をまかないと、家の中に入ってきてしまうんだよ。
たくさんの窓や扉があるから、豆まきも大変です。
バシバシッ フクハウチオニハソト
ある年の節分の日、子供だった私は、一つ一つの窓や扉からバシバシッと、豆をまいていたのだけれど、その年は一か所だけ豆をまき忘れてしまった扉がありました。
鬼は入ってこないかなあ、大丈夫かなあと、あとから心配になりました。
そのあと、私のお母さんが病気になってしまった。
豆をまき忘れた扉から、病気の鬼が入ってきてしまったんだ、と怖くなりました
鬼は目に見えないけどいるんだな、て思いました。
私たち人間は、たくさんの目に見えないものと生きているんだね。
怖いなあという気持ちや、ありがとうという気持ちを忘れずにいなきゃいけないね。
バシバシッ フクハウチオニハソト
川村回想| この次に続く【トンテンカンテントンテンカンテン】と対になる豆まきのエピソード。節分の時、山田さんの家ではかなり熱心に豆をまいていたようです。その熱のこもった「バシバシ!」というニュアンスを出すために、本編では学生スタッフたちに影絵の中からスクリーンに向かって豆をまいてもらいました。田中馨くんにも客席側からスクリーンに向かって豆をまいてもらいました。撒いた豆はピーナッツ。僕の地元ではあまりポピュラーではないのですが、ピーナッツを使う地域もあるようで、学生さんたちの推薦により採用。