今回はロボットの話です。
ロボット名: Geminoid HI-1
研究者名:石黒ひろし(大坂大学のロボット工学者)
まずは、ロボット研究の分類について
Humanoid :人間の形をした機械の効果についての研究
Android :人間の一般的な性質(nature of human)についての研究
Geminoid :人間の個性についての研究
石黒博士はgeminoidを製造しています。自分の娘にそっくりなロボット、そして自分にそっくりなロボットを制作しています。我々人間は、その人が誰であるか、その仕草、話し方などから本能的にその「個」を識別することができます。石黒博士は、geminoid研究により、より科学的・体系的に、何が人の「個」を決定しているのかを探求しています。このgeminoid研究のシンポジウムがARSで開催されました。 特に日本は人型ロボット研究の最先端を走っているので会場は満員状態。 個人をその個人としていかに認知するか、その認知学問題のディスカッションが主題ですが、会場からはさまざまな意見がだされました。 「どうして人間そっくりなモノを作る必要があるの? Creationは Imitationではない。」 「我々は機械のパートナーを必要とするのか?人間と機械との間にはヒエラキーが必要である。ロボット・機械は立場的にわれわれの奴隷SLAVEである。」たしかにそうです。機械(または、生体的に製造されたモノ)が「個」の意識を持ったら、この社会はさらにめんどうなことになる。
現在、人間同士の関係でさえ大変なのに。
機械が人間と同等、またそれ以上の能力を持った場合、仲良くできるなんてことは考えられない。結果は、映画のMatrix、Terminator。
(石黒博士の研究目的は、個の認知問題であって、決して人間対機械の問題ではないと思いますけど。)
ARS ELECTRONICA CENTERには実際にこのGeminoid HI-1が居ました。
私の印象: まず、このロボットとの接し方がわからない。これは、われわれ人間サイドの心理的な問題です。異種なものに対してのコミュニケーション。
もちろん、このGeminoid HI-1は遠隔操作されています。AIではありません。遠隔操作している人間が喋るとおりに喋る。顔の表情、動きもその操作してる人間をセンサーしているので、もし、石黒ひろしが操作すれば、石黒ひろしの喋り方・表情・動きをするGeminoid と会話することになります。
ARSシリーズは一応これで終わりです。
初回で述べたように、ARSの特徴は、現在の先端科学技術が、我々人類の<社会そしてART>に、どのように影響を与えているのかを、文化的観点から捉えようとする姿勢を持っています。皆さんも機会を作ってぜひARSに参加してみてください。できれば、自分が制作した作品と一緒に。
Geminoid HI-1