こども映画教室 in 福島

こども映画教室 in 福島 9月17日(土) – 9月19日(月)
体験記

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[9月16日(金) 前乗り日 —福島市内のロケハンと打ち合わせー ]

 13:04に福島駅に到着し、打ち合わせ通り「福島駅西口」で土肥さん(こども映画教室代表)、大川さん(映像作家・今回の特別講師)、奥定さん(横浜聡子監督の旦那さん・今回のチームリーダー)、長島さん(映像制作会社・今回の記録係り)、そして映像2年の土井(今回はサポートスタッフ)と合流。長島さんの車に全員乗り込み会場となる「コラッセ福島」に向かい部屋を見せて貰う予定が、予約が入っており見られずそのまま市内のロケハンをすることとなる。
 ロケハンした場所は福島駅の東側の商店街やパセオ通り、信夫山、飯坂温泉など。私たち学生二人には告げられなかったがここでもう土肥さん大川さん奥定さんの中では、パセオ通りと飯坂温泉がロケ場所にすると決めていたらしい(あくまでも憶測だが)。
 飯坂温泉からホテル「杉妻会館」に移動し荷下しと翌日からのワークショップの打ち合わせとスタッフ顔合わせを行う。ここで金間さん(映像制作会社・今回の事務一般)と桜田さん(音楽家・今回のサポートスッタフ兼音楽アドバイザー)が合流。
スタッフTシャツが配られ明日からの流れを聞く。この打ち合わせの前までは参加子供人数が7人だったが2人増え9人になった。
 チームは赤と青の2チームに分かれ青を奥定さん、赤を私がチームリーダーを担当することに。また土井が青チームのサポートスタッフを、桜田さんが赤チームのサポートスッタフを担当することに決まりそのまま懇親会として金間さんがセッティングした居酒屋へ。居酒屋で道子さん(3日目からサポートスッタフとして合流)も加わり、今回のスタッフは私を含め総勢9名で行うことがここでわかった。

 ホテルの部屋は案の定、土井と同室だった。部屋にはトイレもお風呂場も冷蔵庫もついていなく、土井と「不安だね」と話して1日が終わった。

[9月17日(土) 映画教室1日目 —思っていたよりもやんちゃな4人—]
 時差ぼけの影響で朝4時半に目が覚めてしまい、シャワーを浴びて時間を潰し、7時にゆっくりと起き出した土井と朝食を取った。土井はこの時ご飯を二杯食べて「お腹いっぱいなんですけど」と言っていた。
 土井が昨晩の部屋で
「愛美さんがもしかしたら飯坂温泉で、私たちがパセオじゃないですか…?」
と言ったことが的中し、私は飯坂温泉チームに決まった。
 またこの福島での映画教室にみっちーと言う3回も映画教室も経験している小学6年生の女の子が参加していた。その子はもう何回も経験しているため、街に出してしまうと今までやってきたことを繰り返してしまう恐れがあった。そのため敢えて人があまり歩いていない飯坂温泉に送り込みたいと土肥さんと大川さんが提案したため、私の赤チームにみっちーを入れた子供5人を担当することとなった(奥定さんのチームは4人)。

 8:50。コラッセ福島に到着し5階の「研究室B」という会議室で設営準備を行う。
 土井は土肥さんなどの指示を受け机の配置を、私は奥定さんと長島さん大川さんと機材のチェックを。大川さんがこの時くらいから、ことあるごとに私にアドバイスをくれるようになる。今思い返すと大川さん本人はあまり言ってないと思っていただろうが、私を心配して色々と言ってくれたのであろう。ありがたいようなどうしたらいいか…。

 9:30。10時集合にも関わらず子供が到着してしまう。会場の設営がままならないので対応ができない。9:45ほどから子供の受付をスタートして続々と会場に入ってくる。入ってくる子供に「赤チームか青チームか」と聞き各班に手渡す。
チームリーダーは子供たち一人ずつにニックネームを書かせる。
 (大人も書く。土肥さん→えっちゃん、大川さん→おおちゃん、奥定さん→おっくん、桜田さん→マック、長島さん→ながっち、金間さん→としえちゃん、土井→りっちゃん、私→マナティ)

 10:00。赤チームの全員が揃う。
 みっちー、さっちゃん、あゆ、ユキトモ(2日目からサトが合流)。1日目午前中はみんなの自己紹介と映画は絵と音で出来ているということのワークショップ。視界を狭めて目を凝らして見ることと、音に注目することで映像を捉えるワークショップ。これらはすべてコラッセ福島近辺で行われた。
 午前中の時点ではチームの垣根をなくし全体で行動していたが、お昼を食べての午後からはカメラとマイクを持って各ロケ場所に行った。

 12:30。子供たちはお昼を済ませ飯坂温泉に行く気満々のためリュックを背負い、カメラを片手にマナティ早く!と言わんばかりに待っていた。私が土肥さんや金間さんから注意事項を聞いているとそこに桜田さんが
 「マナティさん、僕ちょっと13時にピアノを受け取りに行かなければいけないので、最初の方いないので。」と。
 私一人で子供4人を見ることになるかと思ったがそこで大川さんが
 「じゃあ私が最初はついていきます」
と言いサポートスタッフ兼メイキング映像撮りを申し出てくれた。
 12:45。コラッセ福島を出て飯坂温泉行きの電車「飯坂線」まで歩いていたがあまりにも遠く、途中小走りに。大川さんから「先に行って切符を買って領収書を」と指示があり、猛ダッシュしてなんとか13時発の5分前には切符を買うことができる。
先に子供と一緒に改札を通っていた大川さんが乗る電車を間違い、結局13:25分発の電車に乗ることになる。
 電車の中では子供たちが先頭車両を陣取りカメラを好きに回していた。赤チームの子供たち4人はとてもやんちゃで落ち着きがなく、常に誰かがしゃべっている状況だった。

 13:40。飯坂温泉に着くと雨。
大川さんと私の中でもう少し雨が止むまで駅の中で行動させようという判断で子供たちを行動させる。すると子供たちは駅の中の八百屋さんにインタビューし始める(リポーター風に)。子供たちのインタビューが終了し、その方に映像使用許諾書を私が取りに行っている間、子供たちは飯坂温泉駅まえの銅像にて「飯坂に来たぞー!」とオープニング映像を撮影していた。それが終わると上がり坂の方に歩き出す。
 「飯坂」と呼ばれるだけ坂が多く、この地は松尾芭蕉が通った道として有名であった。ラジウム温泉卵が名産品で、非常に温度の熱い温泉としても知られている「鯖湖湯」が飯坂温泉の特徴でもある。
 子供たちはカメラを片手に目的もなく歩いていると、摺上川が見えてくる。その川沿いに「波来湯」と呼ばれる公衆浴場があり、その隣に手湯があった。そこに子供たちが食いつきすぐさま手を突っ込み始める。
 「あったかい!」と言いながらカメラを回しレポート調に紹介していく。そこに小さな鳥居と神社があり「ここを撮ろう!」となり子供たちがお参りするところをレポート調に撮影した。
 その次に足湯があり足湯に入りレポートしながら撮影していると、土肥さんと長島さん桜田さんが合流した。この時点で飯坂温泉での滞在時間は後30分ほどだった。
 15:00。飯坂温泉の摺上川沿いに立ち止まることなく歩いていく子供たち。今回のテーマの「何かありそうなものを見つける」というのを元に歩いているのではなく、集中力が切れて完全に「お散歩」になっていた。
 土肥さんや大川さんからは
「ちょっとこのままじゃいけないかもね…ただ手当たり次第になってる」と私に注意されるが
「でも1日目だから今日はとりあえずこれでいいのかな」
とも言われ、私からは敢えて子供たちに何かを促すことはしなかった。
 15:30。いつの間にか飯坂温泉駅前に着いていてそのまま長島さんの車でコラッセ福島に移動。車の中でも会話が途切れることなく続けられ元気な赤チームの4人だった。

 16:00。子供たちを親御さんに帰し、スタッフたちだけで打ち合わせ。青チームの奥定さんから子供たち3人の様子や進行状況を報告してもらう。この時土井は書記係を頑張っていた。青チームはパセオ通りのお店や建物などに積極的に入ったりインタビューをして、パセオ通りの6割くらいは見られた様子だった。
 奥定さんからは、3人は物静かで普段はあまり活動的ではない様子だが、段々と慣れていきチームワークが非常に良くなっていったそうだ。だがしかし、まだ何かを撮るというわけではなく、取り敢えず撮るという感じが抜けなくインタビュー等をしてもありきたりな質問しか出来ずに帰ってきてしまうといったことが課題点だと報告をしていた。
 土井もここで子供たち3人が静かな子達なので少し心配していたが、短時間で急激に成長していく子供たちを見て驚かされた等と言っていてよく子供たちを見ているのだなとわかった。私が担当する赤チームの報告として、女の子3人男の子1人の4人チームであったため、少しコミュニケーションなどが取りづらいのではと心配していたが、女の子たちが明るく気さくなので何も心配することなく打ち解けていたと述べた。
 よく言えば積極的で活発、悪く言うと落ち着きがなく飽きっぽい。1日接して、この子たちはお互いの波長が似ていて共鳴し合いながら良い方向にも悪い方向にも行くことが出来るなとわかった。
 主にイニシアチブを握るのは小学校6年生のみっちーだった。私が「どこに行くの?」と尋ねるとすぐ即答するのがみっちーで、みっちーの発言が大きく意志があるのでみんながその方向に流れてしまう。私はこの感じを非常に不安に思っていた。確認のために「みんなは本当にそれでいいの?」と聞くとみんなは声を揃えて「いいよ!それがいい!」と言ってしまう。流されやすく、深く考えることをあまりせず何でも面白がっている様子が伺えた。

 打ち合わせを終えて、夜の8時近くまで作業をして夕食を食べに行くことになったが、金間さん桜田さん長島さんは行かないとのことで、土肥さん大川さん奥定さん土井と5人で居酒屋にて夕食を。帰る頃には雨風が強くなってきていたため、大川さんと「明日大丈夫かな」と心配しながらもホテルに帰った。

[9月18日(日) 映画教室2日目 —撮影 in飯坂温泉—]
 朝3時頃。
 杉妻会館406号室、時差ぼけが残っていたが私も土井もぐっすり寝ていた。すると突然50cmほどのテレビ台に置いてあったテレビが急に点灯する。私がテレビに近いところで寝ていたためすぐに気がつく。私は土井が間違ってつけてしまったのかと思ったが、リモコンはテレビ台の上にあったため、テレビが勝手についたようであった。
 私は恐怖で一瞬にして冷や汗をかいたがすぐさまリモコンを取りテレビを消して無理やり二度寝した。
 朝7時。シャワーを浴びに私は起きた。帰ってくると土井が歯磨きをしていた。土井に「朝寝てたらテレビが勝手についた」と報告したら土井は
「やっぱ絶対いますよね?私も昨日お風呂場でなんか視線を…」
と言い始めるので私はなんとなく土井に怒った。
 朝食を食べに1階に降りて、土井のご飯を山盛りによそってあげる。土井はそれをしっかり完食していた。するとフロントマンが現れ
「すみません昨晩お風呂のお湯なかったですよね、多分お客さんが抜いてしまって申し訳なかったです」と謝罪に来た。
 土井はそこで
「愛美さん、これ絶対幽霊の仕業ですよ…!!」と盛り上がっていた。
 朝、土肥さんと大川さんに会うと「お風呂のお湯が抜けていた」とかなりご立腹だったので私と土井から幽霊のせいであると説明した。

 9:00。コラッセ福島にて2日目の映画教室がスタートした。
 今日の最初は昨日撮った映像のラッシュをみんなで両チーム分見るとこからスタートした。青チームは長回しの1カットを12分。陶器を売っているお店にインタビューしにいった映像をみんなで見た。
 赤チームは飯坂温泉に行くまでの電車の様子や着いてからのものなど昨日撮ったもの全部を大雑把に15分にまとめた映像を見た。各々の映像を見て「撮影中に話し声が入ると見づらい」「手ぶれがひどい」「三脚を使うときれいに撮れる」「何を撮っているのかわからない」「自分たちが映ってしまっている」などの発見が出てきた。

 11:00。飯坂温泉に行き子供たちが
「山があったから山を撮りに行きたい」となり撮影対象が決まった。
 この2日目からサトが加わったため5人のチームになり、撮影へと出発した(この日も桜田さんはついてこないと報告を受け代わりに土肥さんがサポートで入ってくださった)。
 11:20。福島駅についたもののカメラにSDカードが入ってないとわかり私は猛ダッシュで戻りメディアを取りに行き何とか11:45発の電車には間に合う。電車の中では主にみっちーがカメラを握り、さっちゃんがマイクを担当していた。今日のあゆとユキトモは少しダラダラしている様子だった。
 12:00。飯坂温泉駅に到着し、すぐさま「飯坂に来たぞー!」を撮る。そのあと「鯖湖湯」に行く流れになり、サトが道案内をして動き出した。
 途中「この上の階段に登りたい!」となり寄り道はしたものの鯖湖湯に到着した。カメラはサトに代わり、録音はユキトモがやっていた。三脚を持つかがりは女の子三人で持っていたのだが、三脚が勝手に開いてしまうと言う欠陥品だったためかわいそうなので私が持つことに。
 13:30。みっちーが鯖湖湯の人にインタビューしたいと言い出し、撮影交渉を取りに行く。14時以降からのアポイントメントを取ってきたためそれまでお昼休憩。このタイミングで土肥さんと大川さんがチェンジし長島さんも来てくれる。お弁当を食べながらインタビューで聞くことを決めていく。
① どうして鯖湖湯という名前なのか。なぜ鯖なのか。
② 鯖湖湯はいつからあるのか。
③ 鯖湖湯の壁の模様が特徴的なのはどうしてなのか。
といったことを聞くことに決まった。
 14:00。子供たちだけでインタビューに送り出す。10分足らずで帰ってくるのでどうしたのか聞いてみると「インタビューした人があまり詳しい人じゃなかった。粘って聞いてみたけどダメだった」
としょんぼりしている5人。
私はその間インタビューされた人に映像使用許諾書を取りに行く。その間に大川さんが当初の予定の山に行こうとしている子供たちを引き止め、鯖湖湯から出てくる人に手当たり次第聞いてみたらどうかと言うと、子供たちは5人で会議を始めた。
 このまま聞き続けたいけど出てこなかったらどうしようか、山にはいかないのか、本当に誰か知っているのかなどと話しているうちに5人の中の誰かが「じゃあもう考えてもわからないからとにかく鯖湖湯の外観を撮ろう!」となったらしく、おもむろにサトがカメラを回し始める。
 その間にみっちーが近くにいる人に撮影交渉をしてインタビューにこじつけ、インタビューが終われば私が映像使用許諾書を取りに走るのを6回ほど繰り返し、最後に引きの鯖湖湯の実景を撮って2日目の撮影を終了して飯坂温泉から引き揚げた。
 帰りの長島さんの車の中で大川さんが
「映画のエンディングの音楽作ってみたら?」
と言うと一斉に即興で歌い出す女の子3人。それを必死に撮りだすサトと、冷静に聞くユキトモ。大川さんが「ソロでユキトモ歌ってよ」と言うと渋りながらも素晴らしい即興の歌を歌ってくれた。このユキトモの歌が実際に映画のエンディングテーマになる。帰りの車でも会話が途切れない赤チームだった。

 16:00を少し過ぎて親御さんに子供たちを帰し、スタッフで打ち合わせと翌日の会場準備を行った。
 打ち合わせでは両チームとも限界の時間まで粘って頑張ったという報告で、子供たちの努力が感じられた。青チームは今日の午前に見たラッシュのお店にこだわり、インタビューを今日だけで3回行ったようだった。
 青チームは今日から新しく入ったじんじんのいい影響もあり、テキパキと動いていた様子だった。一時はグダグダとなってしまったため奥定さんと土井が子供たちに「一体何を撮りたいのかはっきりとしないとダメだ」ときつく叱ったため、途中から陶器店を調べるのだという気持ちが高まったとのことだった。
 赤チームとしては、残りの1時間になってから団結力が深まり5人全員が何かしらの仕事をしながら撮影するという姿を見せてくれて感心した。特にあゆとユキトモは今日1日集中力がなくフラフラしていたが、残りの1時間はインタビューの相手に傘をさしてあげたり、機材を率先して持ってあげたりしていて、ここで初めてチーム力を見られたので良かった。赤チームでも2日目から参加のサトの影響がよく働いたと思ったと述べた。

 18:00。会場設営を終え、明日の準備も整いご飯に行こうとなったがやはり金間さん長島さん桜田さんは来ず昨日と同じ5人でのご飯。土井と「来ないんだね」という目配せをする。
 そのご飯で大川さんが石寺健一さんの8mmフィルム映写機を持っているという謎の繋がりが明らかになったり、土井が土肥さんの白米を食べたりしてみんなに「よく食べる子ね」と感心されたりと楽しい会になった。
 23:00。ホテルに帰ると土井のMy歯ブラシが捨てられていて、土井はキレる。土井はお風呂へ、私はラッシュ組みとNEWラッシュチェックを行っていたがいつの間にか寝落ちしていた。
 24:00。土井が私の寝落ちしている姿を盗撮している音で起きる。疲れていたので私も土井もそこで就寝した。

[9月19日(月) 映画教室3日目 —編集・ポスター作成・音楽制作そして上映会— ]
 6:00。起きてラッシュチェック。
 7:00。シャワーを浴びにお風呂へ。
 帰ってくると土井が「ああ〜!」と何か叫んでいて、起きたようだった。福島側の手違いで20日までの宿泊予定が19日までしか取れていなく、また他のホテルを予約しようにもどこも埋まってしまっていた(?)ため今日チェックアウトをしなくてはならなかった。だから荷造りも同時に行わなければならなかった。土井の荷造りがままならないままご飯に行く。
 いつもの席に行くとなぜか今日だけ私たちの椅子は子供用椅子に変えられていた。土井と爆笑しながら椅子を大人用に変える(変える前に一応座ってみたが案の定小さかった)。鍋の火をつけに来てくれたシェフが土井の鍋の火をつけようとすると鍋の蓋を落とす。だがシェフはそれを直さずに帰ってしまい、その姿に土井はキレる。
 土井は「見ましたか愛美さん?シェフの帽子の上、あんなに帽子が高いのにソースみたいなのですごい汚れているんですよ。ホント何なんですか」とシェフをいじりだす。だがシェフを見ると本当に汚れていてびっくりした。3日間素晴らしく楽しませてくれた杉妻会館とも今日でお別れ。さようなら杉妻会館。

 9:30。コラッセ福島に到着し、PCの準備をしていると10時集合にも関わらず子供たちが到着する。
 到着するなりPCの前に陣取るみっちーとユキトモとあゆ。
「私パソコンやりたーい!」「俺もパソコン!」と朝から元気な子供たち。今日は10時から16時までの間に編集・ポスター作成・音楽付けまで完成させなきゃいけないかなりタイトなスケジュールだった。
 10時から30分程度大川さんから編集についての講義があり、いよいよ自分たちの映画の編集になった。約50分のNEWラッシュをみんなでメモをしながら見て、編集の構成をみんなで考えていく。12:30まで粘って考えさせるが、最後のケツが決まらなく集中力も切れていたのでお昼休憩にさせる。
 ビルの12階の展望台で昼食をとった。青チームはちゃんと静かに座って食べているのに比べ、赤チームは立って食べて私に怒られたり、食べ終わると展望台の中を動き回り忙しない。そんな子供たちに翻弄されすぎて少し疲れが回り始める。

 13:30。昼食を終え編集をみっちーとサト、ポスター・音楽をあゆとユキトモとさっちゃんが担当する各班に分けた。
 私は編集の二人につき操作と手順のみを教え、あとは二人に任せた。編集の手順として、まずは頭からケツまでカットのインアウトを気にせず繋いでいき、後からインアウトを調整しなさいと教えた。二人は最初こそまごついていたが30分もすると慣れた手つきでやっていく。
 みっちーが
「ここの場所を使いたいけど音が誰か喋っていて使えないな」
と言っていたのでどうしたいのか聞いてみると
「他の音をくっつけることはできる?」
というのでその方法を教えると
みっちーとサトは「すごい、編集だー!」と感動していて楽しそうな姿に嬉しくなった。
 どこからかあゆとユキトモとさっちゃんの歌声が聞こえていくる。どこかで音楽録りを行っているようだった。そんなことも気に留めず二人はいいチームワークで編集していく。約2時間二人は一度も集中を切らさなかった。
 15:50。編集も終わりあとは上映を待つのみとなった赤チームの5人は舞台挨拶の練習をしていた。
 大川さんから
「上映前の数十分、本当にチームリーダーは震えるくらい緊張するから」
と脅されていたが、慌ただしいためその感覚もなかった。
 というより、私の映画ではなく彼ら5人の映画なので緊張するのは私ではない…という思いが強く、震えるまで神経は張り詰めていなかった。私が怯えることもなくスンとしていたので大川さんや土肥さんも少し不思議に思っていたかもしれない。だが逆に5人の表情を見ると彼らの緊張度合いがひしひしと伝わってきた。「君たちは君たちの映画を頑張って作っていたよ」
とそう伝えたかった。

 16:00。いよいよ上映会。
 最初は青チーム「うつわ」の上映。上映が終了すると一人一人舞台挨拶で登壇する。チームリーダー・サポートスタッフから一言があり、映画で登場する陶器店の店主夫婦からの感想もあり拍手と和やかな雰囲気で終わる。
 時間が押しているためすぐさま赤チーム「和風な鯖湖湯」の上映が始まる。上映中、一番声を出して笑っていたのが赤チームの5人。彼らの楽しく満足している姿を見て少し救われた気分になった。
 上映終了、舞台挨拶のため登壇する。私にはサポートスタッフがいなかったので大人は私だけ。緊張した表情で一人一人挨拶をしている姿に手助けしたくなる衝動が込み上げたが抑える。
 私からの子供たち5人の頑張りを発表。その際5人一人一人が私の目を見ながら聞いてくれる姿に少し感動する。君たち最後の最後でそういう感動的なことしないでよねと。
 17:00。みんなで集合写真を撮り、さようならの時間。「マナティー!バイバイ〜!」と手を振ってくれる子供たち。あー、結構みんなすんなり帰ってしまうのね。また会えるでしょくらいのノリで。と少し悲しくなる脇で本当に悲しそうな顔をする土井。
 17:30。子供たちが全員帰り、会場の撤収も完了。20日の宿泊が取れなかったため今日は22時くらいまで打ち上げをやりましょうという流れになっていたが、まさかの福島側スタッフの金間さん長島さん桜田さんは荷物をまとめると帰ってしまった。
 土肥さん、放置状態にされ激怒。
 スタッフ全員「え、打ち上げないの?」的な雰囲気になり、とにかくイラつく土肥さん。ため息まじりに「本当にごめんね…今日はりっちゃんも早く帰らなきゃいけないし、仕方がないから駅前で軽く食べて帰りましょうか…こんなの初めてだよその日に帰るって。本当にごめんね」
と繰り返し謝られる私と土井。
 「なんなんでしょうねあの人たち」と土井と私は軽い愚痴をこぼした。
駅ナカの居酒屋で道子さんを入れた6人で夕食&打ち上げ。その打ち上げで
「スタッフ初めての人を、ましてや学生をチームリーダーにしたのは初めてだった」
と打ち明かされ驚愕する私。加えて「どういう気持ちでやってたの?」と言われ「もうわからないので必死にやるしかなかったです」と答えると「偉いねー!」と。私と土井は不思議でならなかった。土井も土井でかなり褒めちぎられ満更でもない様子。可愛らしい後輩だなと改めて思う。

 19:00。道子さんと土井が先に帰宅。土肥さん大川さん奥定さんも20:00の新幹線でお別れ。私は19:33の電車を逃してしまったため20:50まで駅ナカのスターバックスで時間つぶしをしながらFacebook用の文章を書いていた。
 3日間を思い出すとたった3日間でかなり濃密なことをしていなと改めて実感した。私自身としては想像していたよりも映画教室が過酷で自分と子供だけで精一杯になってしまい、少々狼狽えてしまったところが反省点だったと思う。
 もう少し頑張れたのではないかという後悔が残る一方で、手を抜いた覚えはないのであれが今の自分にとっての精一杯だったのかなとも思った。今回わかったことは、突然の問題も発生するし急に責任ある仕事を任されることもあるから、いつでも柔軟な対応を出来るように構えておくことが大事なのだなと勉強になった。嫌だ無理だと逃げていても始まらないし、考えるより行動してしまった方が良いのだと思った。
 土井は非常に真面目で立ち回りもよく、みんなから褒めちぎられていた通りの素晴らしさだった。
 前田さんからハードルを十分に上げられて送り込まれた映画教室。土井も私も自分たちの精一杯を尽くしたのではないかと思う。

 以上、こども映画教室in福島 2016 の体験日記でした。

 映像学科3年 千葉 愛美

私は今回が子ども映画教室、初めての参加でした。
 子どもたちだけで映画を作るということに対して、始めはとても緊張していてサポートスタッフとして不安な部分もありました。
 しかし子どもたちはそんな心配も吹き飛ばすかのように真っ直ぐ映画と向き合い、製作に励んでくれました。自分でも想像する以上に楽しくて、子どもたちともたくさん関わることができて本当に良かったです。私が担当した青チームは何度も何度も取材先の陶器店に出向き、納得のいくまで撮影を進めていて、その懸命さに思わず涙ぐんでしまいました。
 たくさん笑い、悩み、考えて、皆で1つの目標に向かって頑張るということはあるようでなかなかないことだと思いますし、様々な感動をもらえました。
 機会がありましたら是非ともまた参加させていただきたいです。本当にありがとうございました。

 映像学科2年 土井 理紗子

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