『ヴィヨンの妻』のスタジオセット


今年の秋に東宝系で公開される私の新作映画『ヴィヨンの妻』のセットを案内しましょう。
東京の世田谷区成城にある、東宝撮影所の第8ステージに昭和21年の中野の町並みがつくられています。

約30メートルのガード下か商店街を進んだところに主人公たちが集う居酒屋の椿屋があります。
ありますといっても、もちろん美術のチームが念入りの調査と独創性で立ち上げた作り物です。

タイムスリップしたような昭和の街のセットのなかで、来る日も来る日も撮影していると、私の現実の時間と70年近く昔の太宰が生きた時間が自分のなかで解け合ってきます。


たぶん私だけではなくすべてのキャストとスタッフが時代に滑り落ちていくような感覚を掴んだときに写し撮れるものが、この映画をつくりながら私が探しているものなのでしょう。

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