最初だからメッセージのようなもの

オープンキャンパスが近づいたので、開催される映像学科の説明会のためにカリキュラムを見直していた。

映像学科とひとくちに言っても、様々なメディアが混在している。劇映画、ドキュメンタリーフィルム、コマーシャルフィルム、CG、アニメーション、メディアアート、写真、それぞれの授業が組み込まれている。
確かにてんこ盛りで中身を消化するのは大変そうだ。でも私はこの授業を受ける学生がうらやましく思える。第一、どのメディアを学ぶことも楽しそうだ。もちろん、楽しそうといったって学ぶことは気が進まなかったり、努力を強いられる事もあるだろう。でも、今、映画監督をしている私から見れば、自分が学生時代にこれらのことを少しでもかじっていれば、どんなに私のつくる映画が豊かになっていたかと思わずにはいられない。自分のつくったCGやアニメーションが実際にモニター画面で動いたときにわき上がる感動(たぶんあると思う)、暗室で自分の写真が印画紙に浮かび上がってくるスリル(たぶんあると思う)、それらの映像体験が必ずつくった者に何かプラスするはずだ。

映画は様々な要素で構成されている。映画が登場して100年の時が過ぎ、新しい表現方法を作り手は模索している。劇映画とドキュメンタリーの境目は、もはや見つけることはできない。実写だけで完成された劇映画も少なくなって、大規模な映画ほどCGやアニメーションが大幅に駆使されている。映画監督になる人も様々な分野から登場している。
異なるメディアを縦断的に歩くことができなければ、これからの映像表現者はこの世界に住むことができないだろう。その歩き方の一歩を、私も映像学科で一緒に学びたいと思った。

根岸吉太郎

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