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脈流

大平由香理 Yukari Ohira
[日本画コース]

宮島達男 評
原色で描かれた赤い空、自然の底知れない力強さを感じさせる筆力。彼女の絵からは、自身が語る「狂気に至るような自然の荒々しさ」が伝わってきます。岐阜県出身の彼女が強い印象を受けたという、山形の自然環境、山の力強さが、荒ぶる魂が襲いかかってくるような所まで高められていて、とても迫力があります。赤くグニュグニュとしたものが空までを被っていて、宇宙と一体になった自然、みたいなものが満遍なく表現されていますね。日本画には珍しくテクスチャがごつごつとしていて、それが自然の荒々しさを表現する上で欠かせない要素となっています。何にせよ、この巨大さ。圧倒的なエネルギー。今しか描けないであろうパワーを感じます。

(2010年度 日本画コース最優秀賞作品)