「春、庭に咲く」撮影体験記
大塚勇人
6月の9日から17日までの9日間、庄内映画村を中心にした庄内〜酒田地域にて冨樫森監督作品「春、庭に咲く」の撮影現場に撮影助手として参加した。
撮影開始前日に撮影技師との初顔合わせ、機材車いっぱいに積み込まれた機材の説明や配置を憶えることから始まった。ドリーやプロジブなど使った事の無い機材に戸惑いを感じたが、今まで扱った事の無い特殊機材を実践の中で学ぶ良い機会となった。翌九日より撮影初日、機材の安置するベースを作ることから始まり三脚持ちや照明のセッティングなどサード、フォースの作業に従事。
プロの現場は早い、状況把握と洞察無しではついて行けないテンポであった。学生映画と大きく異なるのはテンポ以外にも多くあったが中でも一番の違いは演出にある。撮影の中心はスケジュールではない、芝居である。
ダメなものはダメ。何度もテストを重ね(時に10〜20テイクにもなる)その過程で演技は大きく変わり形になる。芝居が決まれば全てが決まる、本番になってテイクを重ねる事は少ないくらいだった。
撮影はタイトな日程のなか進み、雨・風・ピーカン季節柄あり得る全ての気象現象を乗り越え無事クランクアップを迎えた。
本作品において大した役割を果たせたとは言えない、だがスタッフの一人であるという自覚はある。映画製作には多くの人が関わる自分も確かにその一人であった。