「ひじおりの灯」9年目の夏がはじまります!

「ひじおりの灯」は、山形県大蔵村肘折地区と東北芸術工科大学が肘折温泉開湯1200年を迎えた2007年の夏から共同で開催しているアートプロジェクトです。毎年、雪の残る春に学生たちが温泉街をフィールドとして滞在制作をおこない、肘折という土地やそこに暮らす皆さんとの対話の中から、それぞれの「肘折物語」を紡ぎ、月山和紙に描いていきます。集落を活き活きと囲む壮大な自然や山菜・きのこなど山々の恵み、動物、湯とともに生きる人びとの暮らし、伝えられてきた古い逸話や民話、あるいは家々で生まれたささやかだけれど心温まる 出来事など。各々が描いた物語は八面体の灯ろうに貼られ、毎年、夏の夜を迎えた温泉街を灯し続けてきました。

4月下旬、この夏9年目・9回目の点灯を迎える『ひじおりの灯 2015』の打合せのため、雪が解けたばかりの肘折へ行ってきました。

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連日の陽気で、雪解けと山々の芽吹きが例年よりも早く訪れていた肘折温泉。“白き山”月山を見ながら、湯の台を抜け、大蛇のような肘折希望大橋を渡れば、カルデラの底にいつもの温泉街がありました。

この日集まっていただいたのは、つたや肘折ホテルの柿崎雄一さんやそば処寿屋の早坂隆一さんをはじめ、旅館青年部や商店青年部などこれからの肘折の湯を受け継いでいく若手の皆さん。これまで地区と大学が共同で行ってきた『ひじおりの灯』をこれからも灯し続けていくため、今夏に向けた作戦会議が行われました。

歴代ポスター

第1回目から昨年まで、つたや肘折ホテルさんのロビーに飾られた8枚の歴代ポスターたち。
「この年はこんなことがあったよね~」
「うちは○○さんの灯ろうが飾られた年だな」
「肘折黒(移動式Cafe&Bar)が登場したのは、この年じゃないかな?」
「じゃあ今年の夏は・・・」
と、その夏々に灯されてきたいくつもの物語に思いを馳せながら、開催に向け様々なアイデアが登場。

打合せの最後には、肘折ホテルの柿崎さん、亀屋旅館の横山 さんにご案内いただきながら、地区の皆さんと“湯治部屋”のフィールドワーク。肘折温泉に泊まったことがある皆さんは、湯治部屋の敷居から縁側へ常連のおじいちゃんやおばあちゃんの足がちょこんと覗いている、そんな姿を見たことがあるかも知れません。古くから人びとの身体を癒し続けてきた湯治場・肘折では、こうしたかつての面影を宿したままの湯治部屋がその記憶とともに残され、また新たな湯治客を迎えています。

湯治部屋

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今夏は、この湯治部屋も「ひじおりの灯」の舞台となる予定です。

なお、「ひじおりの灯 2015」の様子は、引き続きBlogやTwitter等を通じてお届けしていきますので、そちらもぜひご覧ください。
まずは、来週末に行われる肘折温泉での「取材合宿」。今年の作画者の皆さんは、雪が解け、山々が芽吹く肘折でどんな出会いをし、どのような絵物語を生み出していくのでしょうか。お楽しみに!

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この夏も、どうぞよろしくお願いいたします。

(美術館大学センター事務局 「ひじおりの灯」担当 鈴木淑子)

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