終わりを受け入れる都市
佐藤香織 Kaori Sato /矢口麻智 Machi Yaguchi
[建築・環境デザイン学科]
宮島達男 評
タイトルが非常にショッキングだったので、僕は作者にどういうことか聞いてみました。「終わりを受け入れる」というのは、都市計画で破壊した自然を、ゆっ くりと元の自然状態に戻していくことを目指す計画だそうです。過疎化した都市や開発して捨てられた万博跡地 など、廃墟化していく場所に人が住みながら、自然に帰していく。これは、マエキタミヤコ賞の作品ともリンクするのですが、建築というのは「クラッシュ・ア ンド・ビルド」で、とにかく新しいものを造っては壊し、そしてまた造るということを繰り返してきました。ある意味で、建築は環境的に負荷の高い仕事です。 今の建築・環境デザイン学科は、持続可能な建築を目指そうとしています。その中にあってこのテーマは非常に先鋭的で、最終的には建築を否定するような発想 を展開していることにとても驚きました。でも、実は、それこそが今の時代にとって、とても重要な視点なのではないかと思いました。
(2009年度 卒展プライズ受賞作品)