過去の作品

いとなむ

髙橋幸子 Sachiko Takahashi
[工芸コース]

酒井忠康 評
空中に吊るしたイスがちょっと中途半端な感じがありました。だけど足を機械的な同じものにしないで、極端に細かったり太かったりしているあたりに、作者の 迷いというか、モノを作っていく上での楽しみ方をようやく覚えたような感じを受けました。この作品の面白さというのは、素材に対する愛着から自然に展開し ているところです。モノを作っていく上でいくつかの道があるのですが、ひとつはまず形を考えながら、その形にどういう素材が合うか――素材の方が、むしろ その形を支えるという考え方ですね。もうひとつは、素材と対話して、馴染んで、いかにも毎日使っている箸のように自分で自由に使えるようになってきた時 に、素材が形を導いていく――素材からむしろ形を発掘していくという考え方。海外の作家は前者の傾向が強く、日本の作家は後者の立場が多いですね。ただ、 作品は両方のことを考えなくてはならないので、たくさんデッサンをしたりして、いろいろな事に挑戦していかなくてはならいないと思います。

(2009年度 卒展プライズ受賞作品)