『ひじおりの灯2012』点灯しました。

本日7/28より『ひじおりの灯 2012』の点灯がはじまります。(※特設サイト→http://hijiorinohi.com/)肘折温泉が開湯1200年を迎えた2007年から、今回で6度目の開催です。昨日は朝から学生たちと肘折に入り、青年団にも手伝ってもらいながら、温泉街のすべての旅館と商店・飲食店に『ひじおりの灯』を設置(34基)しました。また、今年は木造の旧郵便局舎内に過去5年間に描かれた灯ろう絵の一部を再展示しています。2009年の企画『ART×TOUJI』から3年ぶりの局舎オープンです。ゆっくりじっくり肘折時間にひたってください。肘折青年団による屋台カフェ『肘折黒』も、局舎前で営業しますよ。

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2008年の大蔵村立肘折小中学校閉校、2011年の東日本大震災、そしてこの春に起きた地滑りによる生活道路崩落…。この小さな湯治場にとって『ひじおりの灯』スタートからの6年間はけっして平坦ではありませんでしたが、この夏も『ひじおりの灯』は、湯守たちの里を静かに照らします。

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『灯ろう『ひじおりの灯』が点灯するまで』

庄内の伝統の技〈組子〉でつくられています。
八角形の木枠は建築家の竹内昌義氏(東北芸術工科大学教授/みかんぐみ)による設計、組み立ては鶴岡の建具職人の手によるものです。側面にぐるりと貼付ける絵に対して、影になってしまう内側の骨は極限まで細くつくられているなど、庄内の伝統工芸〈庄内組子〉の繊細な技にぜひ注目してください。現在の『ひじおりの灯』は、2007-2008年につくった34基を補修と貼り替えをくりかえして大切に使用しています。また木枠を上から見た形状を『HIJIORI Light Project/ひじおりの灯』のロゴマークとしています。

2泊3日の〈滞在制作〉で肘折を学びます。
雪解けの頃になると、東北芸術工科大学(山形市)の学生たちが、夏に飾る『ひじおりの灯』を描くために肘折温泉にやってきます。はじめの年は日本画を学ぶ大学院生だけで描きましたが、現在は洋画、版画、テキスタイルなど、様々な専攻から学生有志が集まり、肘折での滞在スケッチや「聞き書き」を通して湯治場の暮らしや歴史を学んでいます。2人組になって温泉街の旅館に分宿し、うち1名が泊まった宿の灯ろう絵を、もう1名が商店や飲食店を担当します。『ひじおりの灯』は正規の授業ではありません。学生の宿泊費は肘折地区が負担し、学生は灯ろう絵を地区に残していきます。

 〈月山和紙〉に肘折を描きます。
『ひじおりの灯』の灯ろう絵は、すべて〈月山和紙〉に描かれています。手漉き和紙は自然な風合いが魅力ですが、絵具のにじみや発色の具合が精練された和紙とは大きく異なるため「はじめの一筆を入れるときはとても緊張する」と学生たちは言います。同じ和紙の上に岩彩やアクリル絵具だけではなく、染色や銅版画など様々な技法・画材で描かれています。昼と夜で絵の見え方がまったく変わる仕掛け灯ろうもあり、温泉街の人々はもちろん、常連の湯治客も「今年はどんな灯ろうが出てくるか?」と、点灯を心待ちにしています。

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温泉街で点灯。夜の風景が変わりました。
かつての肘折温泉は名物の朝市にあわせて商店もはやく閉まり、夜はひっそりしていましたが、夏の間は夕食後に『ひじおりの灯』を鑑賞する湯治客で賑わうようになりました。『ひじおりの灯』の点灯期間中は、学生が1名〈案内人〉として温泉街に長期逗留し、灯ろうの管理やお客さまへの案内を担当しています。ぜひ気軽に声をかけてください。灯ろう絵を描いた学生が自作の灯ろうを解説する灯ろう鑑賞ツアー『肘折絵語り・夜語り』の夜は、温泉街が朝まで街づくり談義で盛り上がる『ひじおりの灯』のハイライトです。

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『肘折絵語り・夜語り』
日時=8月11日[土]18:30→21:30/案内人=宮本武典
温泉街にずらりと並ぶ灯ろう『ひじおりの灯』を、作画者の解説つきで鑑賞していく夜のトークイベントです。暮れていく温泉街を浴衣姿でそぞろ歩きながら、34個の灯ろうをゆっくりと巡っていきます。

【同時開催】
月山若者ミーティング 『山形のうけつぎ方』
働き方研究家・西村佳哲さんを『ひじおりの灯2012』点灯中の肘折温泉にお招きし、山形の若きカルチャーリーダーとともに「震災後の東北・山形をどう受け継ぎ、活かしていくか」をじっくり語り合います。農業、温泉、コミュニティー、信仰、食文化の担い手たちが、それぞれの継承の現場で感じている「可能性」や「課題」をシェアし、地域の未来を拓く手がかりを探ります。

日時=8月11日[土]14:00→17:30(入場無料/予約不要)
会場=肘折いでゆ館ゆきんこホール
ファシリテーター=西村佳哲(働き方研究家/リビングワールド代表)
ゲスト=渡辺智史(ドキュメンタリー映画監督)、坂本大三郎(イラストレーター/山伏)、菜穂子(山形ガールズ農場代表)、志田美穂子(月山志津温泉)、早坂隆一(肘折温泉青年団)

西村佳哲(にしむらよしあき)
1964年東京生まれ。リビングワールド代表。建築分野を経てコミュニケーション・デザインの仕事を重ねる。働き方研究家としての著書に『自分の仕事をつくる』など。

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