お稲荷さん3兄弟
石工サミットが終って、石鳥居調査も佳境に入ってきた。今日も4班に分かれ、新たな出会いを求め各所に散った。
3連休のなか日。今回は卒業生が仕事の都合で出れない代わりに、新人の1年生2名が初参加した。時間に余り余裕がなく、記録作業に追われたが、高畠の風景とそこに育まれてきた生業や信仰の息吹を感じることができただろうか。
秋が深まると里山を背景に立つ石鳥居の表情も際立つ。みんな住宅地図に載っていない鳥居を探すのにもなれてきた。「ゼンリン」なんってたいしたことないね・・・・と。
金原新田の風景は忘れられない。とあるお宅で神社の縁起を書いた古文書を見せてもらった。この旧家の老夫婦、昭和30年代後半、家の堆肥場を作るのに、山の上にあった石切り場から自宅の馬とそりで角石を曳いてきたそうな・・・。冷たい雪の上を。85歳の爺さんと奥さんが若かりし頃を懐かしむ、その笑顔がなんともいえず素敵だった。
あいかわらず傷ついた鳥居が目立つ。貫や木鼻が新材に取り換えられるか、脱落している。笠木・島木は破断や亀裂をカスガイで止めている。雪国の鳥居の宿命とはいえかなり高齢化が進む。一方でそれらは修理し続け、大事に守ってきた証でもある。私たちの作業は、そんな鳥居の現状・病状を記すカルテづくりの第一歩といえる。
将来、この悉皆調査が保存管理の礎となり、地域を歴史を紐解く道しるべの一つになればいい。
今日のお気に入り
「古文書のある旧家 原田さん」
「床下の修羅3基とどんづき」
「シーソーの製造票 柴田鉄工場 電話253番」
「築100年の家の石塀と蔵の基礎石」
「夢殿のようなサイロ」
修羅とどんつきがひっそりと眠る神社