歴史遺産学科

歴史/考古/民俗・人類
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2014-11-27

住宅地図の恩恵と落とし穴

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高畠まちあるきプロジェクト」では高畠町にある堂舎・小祠等を約200箇所訪ね歩き、約150箇所にあった鳥居を詳細に観察・記録した。いま学生たちがその成果をまとめている。

 

 比較的短期間で調査できたのはなんといっても住宅地図のおかげだった。ゼンリンさまさまである。たいがいの神社には鳥居マークがついている。それを目印に現場に行き、周辺の民家でそれ以外のモノがないか聞いて回るのが基本的な調査方法だった。

 

 150箇所の鳥居を整理していて気付いた。

「古峯(ふるみね)神社」が結構あることだ。言わずと知れた火伏せの神様「古峯ケ原」である。栃木県鹿沼市に総元締めの「古峯神社」がある。この神社の運営母体である「講」は全国に2万あるともいわれ、高畠でもほとんどの集落に講中があった。いまでも「代参(講中の代表が栃木の古峯神社に参拝し、御祈祷の御札を受けて、村の講員に御札を授与する)」するところがある。

 代表がいただいてきた御札は各集落に建てられた古峯ケ原の石柱(奉納用の穴がある)に収める。この石柱はもちろん高畠石でできていて正面に大きく「古峯神社」と彫られている。この石柱は集落内、あるいは山際に単独で立つ場合もあるが、神社に併設されている(鳥居の脇にある)例が多い。

 もうわかっただろうか。これが曲者である。
 ゼンリンの調査員は神社名を記録する際に、鳥居の脇に立つ「古峯神社」の標柱をみてそれが神社名だと思ったらしい。高畠には名もない「神社」がたくさんある。そんな「神社」はお祀りしている人に聞かないと何の神かはわからない。

 

 

 

 ということで私たちも先を急ぐばかりに住宅地図の表記を鵜呑みにして「古峯神社」を乱発してしまったというわけだ。二日ほど空き時間を見つけて聞いて回ったら案の定だった・・・・・拙速は間違いのもと。ちゃんと裏をとるということを改めて肝に銘じた。

 今日は夕方5時から歩いた。もうあたりは真っ暗。しかし、なんと2時間ほどで新規の石鳥居を2基発見してしまった・・・・・。おそるべし高畠の石鳥居。

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