短い4泊5日の研修旅行。最終日は名護に戻り、そこからビーチ沿いを南下、読谷村「やちむん」の里へ。そして那覇に戻り、王家の墓廟タマウドゥンへ。今回は本島の一部を短期間で回っただけだが、お盆の時期にも重なり沖縄に根付く祖霊信仰の一端を垣間見ることができた。
起伏に富んだ石灰岩台地とサンゴ礁の海辺に刻まれた個性的な沖縄の遺跡。青空に映えるグスク跡の整備に複雑な沖縄の現代史の影をみた。車で通り過ぎるだけでも普天間や嘉手納など基地の存在は十分すぎるぐらい感じられる。アカギとフクギといったシンボルツリー、ハイビスカスやアラマンダ、ブーゲンビリアの花の色。ガジュマル、クワズイモ、ゲットウ、ソテツなど森の植物。サトウキビ畑に囲まれた石垣と低い瓦屋根の伝統家屋。
沖縄の自然や社会、食を体感する旅。それぞれの「驚き」を脳みそに刻んでくれればいい。
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今帰仁グスクでは随所で石垣の孕みや崩れが見られた。グスク石垣はもともと勾配が急な石塁状でさほど耐震性は考慮されていない。地震がないわけではないが、むしろ修理し続けて維持していく方針だったのだろう。豊富な資源が身近にある環境では合理的である。堅牢な石垣が素晴らしい!と思ってしまうのは日本人のバイアス・・・・
現代の整備、石垣復元もそんな方針のように見えた。かたや絶対に?崩れない石垣を希求する日本の近世城郭石垣の活用と整備… グスク石垣を安定解析をすると、安全率1.0を下回るのは目に見えている。
グスクから見渡す青空とエメラルドグリーンの海。自然地形を生かして作られた城壁、石塁の下に立っていても、この石垣が崩れてくる予感は不思議としない。 一方の都市公園にある日本の近世城郭の石垣。昨今の大地震による崩壊の恐怖は人々の記憶に新しい。石垣整備の安全や安心は難しい問題だ。
そんなことを考えながら、世界遺産のグスクを一回りしてきた。
あまりにも駆け足の沖縄旅行。異文化の歴史遺産をみて、自文化を問い直そう。
沖縄戦と米軍占領時代に破壊された首里城。琉球王国の遺産を日本政府が推薦し、整備してきた歴史。現代の沖縄が抱える問題と合わせ、問うことはまだまだある。
もう周りは冬ですがこれで完結です。