6月の末に学生たちと石の町-大谷(宇都宮市)と芦野(那須町)を訪ねた。
大谷資料館
大谷は東日本屈指の石材(凝灰岩)産地。房州石や伊豆青石とともに首都圏の近代化を支えた。
大谷資料館は震災後、岩盤崩落の心配から閉鎖されていたが、この4月に再開された。石材採掘技術を学ぶ展示室と地下の垣根掘り丁場が公開されている。震災前より見学者が増えているように感じていたら、学生曰く、最近話題のアニメ「進撃の巨人」のエンディングテーマ「美しき残酷な世界」のミュージックビデオがここで撮影され、若者にも知名度があがったそうだ。親切で勉強熱心な2人のボランティアガイドが付きっ切りで説明してくれた。というより、こちらが質問攻めにして離さなかったというのが正確だった。
切り出す石の標準サイズは「五十石(ごっといし)」といって、5寸×10寸(=1尺)×3尺、すなわち長さが90cm、断面が15cm×30cmである。30㎝四方の石を切り出して、これを二つ割にする。1本1本背負子で担いで貯石場まで運び出す。この規格的な五十石で建物や石塀が造られている。
房州石など、各地の石材はいずれも3尺が標準である。高畠がなぜ6尺の「一二八(いちにいはち)」という大きな石を現代まで標準としたのか。往時は手掘りで1日10本、1本切り出すのに4,000回ツルを打ったという。高畠石は80歳のG氏が引退間際で6尺×1尺2寸×8寸、1本を切るのに4,200回余り(若いころはもっと少なく、切り出しは1日1~2本程度といわれる)。大谷の五十石で4,000回はちょっと大げさだろう。資料館周辺には露天掘り丁場跡がいくつもある。石切り場はどこも埃っぽくて、殺風景だけれども職人のにおいがして好きだ。
それから大谷の町を少し歩いた。そこかしこに石造りの建物があって「石の町」独特の雰囲気がある。しかし石材産業は斜陽の趣があって、廃墟感が漂う。さすがの大谷も例外ではない。
さらに、市街地にある教会建築を二つ見学した。松ヶ峰教会は1932年竣工、戦争で罹災後、1948年に復興した。登録文化財として活用しながら保存されている。親切な神父さんが中を案内してくれた。エレベーター付設の際に取り付けられた屋根の雨水排水口に「蛙」の石造物が使われている。どうみても「カメレオン」にみえるが、神父さんはゴム靴を履いた「カエル」だと言い張った。建築当時の司祭が宮沢賢治と深い親交があり、童話「蛙のゴム靴」に登場するカエルにちなんで作ったのだという。
帰り際にお礼を言って出ようとすると「また来てください!」というので、「今日は下見、今度は結婚式で・・・」というと微笑んで見送ってくれた。
夜はお決まりのギョーザ。閉店間際に並んで食べる。食うと決めたら食う!
そういえば行きの安達太良SAから食欲旺盛。お昼もおいしいラーメンも30分並んで食べた。欲があってなかなかよろしい。