文化財には無形、有形、小さなものから大きなものまでさまざまある。
お城の石垣は大きい方だろう。
有形文化財や史跡にとって一部を解体して修理する外科手術は最後の手段だ。そして、延命のためには、いつかはその時を迎えなければならない。人間に例えられるゆえんである。人と違うのは「尊厳死」はないことになっている。
石垣の場合は大学の文化財保存修復研究センターのなかでやっているような修理と違って、野外で行い使う道具も大きく大雑把な印象がある。しかし、やってることは変わらない。文化財が持つ本来的な価値を失うことがないようオリジナルの材料や技術を吟味し、修理技術を継承することも含め関係者が力を合わせる。修理の理念から材料や工法の検討、細かい議論のプロセスを残しながら作業が進められる。だから時間がかかる。
2011年3月11日からもう3年余りが過ぎた。小峰城本丸南面石垣、その姿がよみがえりつつある。
鷹の目(西)の復旧