歴史遺産学科

歴史/考古/民俗・人類
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2017-11-02

日向洞窟発掘プロジェクト

 

来年の1月末に行われる、美術科との合同展示「縄文アート展」に先立って、今年はじめて芸術学部美術科有志の学生30人ほどが、歴史遺産学科考古学研究室で調査している日向洞窟遺跡の発掘調査に参加しました。日向洞窟遺跡の発掘調査は、2013年から歴史遺産学科考古学ゼミの長井謙治先生を団長に、5年間に渡って調査が行われて来ました。

調査が始まった当初は早稲田大や東北大、國學院大からの応援部隊に助けられましたが、今年は本学の学生のみでの実施。長井ゼミの草創期の調査メンバーはほとんどが社会人となって、各分野で活躍中です!そんな長い調査の経験で現在の歴史遺産学科の主力メンバーに自信が付き、今年ようやくこの企画が実現しました。

 美術科の学生が調査に参加した期間は2泊3日で、引率の先生に歴産の学生を含めて40人を超える調査員が、僕らの第二のマイホーム(?)屋代村塾に寝泊まりしました!

参加した学生は、日本画コース・洋画コース・版画コース・工芸コースの学部2年生から院生まで、総勢59名にのぼります。教員は14名と豪華です。

歴史遺産学科長井謙治先生の呼びかけで、田口洋美先生の他、美術科日本画コースの末永敏明先生、金子朋樹先生、版画コースの中村桂子先生、金工コースの藤田謙先生、陶芸コースの深井聡一郎先生、それと映像学科の屋代敏博先生、建築環境デザイン学科の渡部桂先生、テキスタイルの辻けい先生、洋画コースの木原正徳先生、映像学科の西村宜起先生、副手の田中智美さん、浅野友理子さんです。

普段の大学生活では、まず経験できない規模のコース・学年の壁を超えた交流ができて、とても有意義な時間を過ごせました。

屋代村塾での集合写真 (最終日宿舎にて)

 

 では2泊3日の活動記録を見ていきましょう!!

 

1日目

午後から美術科の学生が、屋代村塾に到着しました。簡単なミーティングと宿舎の見学を済ませて、いざ日向洞窟遺跡へ!!洞窟を見学してから、発掘現場にも足を運びました~!

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長井先生による発掘調査区と過去4年の調査の概要の説明です。国指定史跡の重みとそこでの精緻な調査手法の解説、縄文時代草創期から中期にかけての長きにわたる地層についての説明がありました。美術科の学生は一堂に会して、説明を聞きます。

 

夜は田口先生と自称河童愛好家五十嵐さんによる、鹿料理の数々!2年の金彦中の作った石器で鹿のもも肉の解体もしました。

 

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鹿肉の部位の説明

田口先生曰く、石器の方が鹿の解体はしやすいとの話も。やはり先人の知恵・道具には敵わないのかもしれませんね~~

 

27石器での解体

 

 

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明日から美術科の学生も発掘調査に参加します!早く寝ないとね…

と思いきや長井先生による石器の解説が始まりました!

二日目からの本格的な調査に向けての事前学習です。石器のみかた、偽石器と石器との区別など・・調査前の予習は大変です。

 

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石器の見方を説明中。熱が違います。

 

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でも美術科の学生は興味津々!むしろ教授陣の興味がすごいくらい…

 

8金工の藤田先生。じっくり石器を眺めています。

 

 

9その後、屋代先生からもカメラ講義が!!・・長い夜になりました!!

 

2日目

この日はローテーションを組んで、4人の学生と引率の先生が1グループになって、発掘調査と整理作業・スケッチ隊に分かれ行動しました。

 

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いざ、出発です。

 

 

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スケッチ隊は山登りです。

日向洞窟、大立洞窟、一の沢洞窟、火箱岩洞窟の他、安久津石切り場、旧高畠駅舎等を見学します。また、山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館見学コースです。

 

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発掘調査班では毎日調査です。慎重に徐々に掘り進めますが、陶芸コースの深井先生が土器を発見しまくって、大活躍!!

 

132mのトレンチのそこで淡々と調査します。

 

 

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金工コースのひなたちゃんは石鏃を発掘しました!

 

日向だけに何かのご加護があったのかな?整理作業班は、3年前から発掘に協力して下さっている日本画の末永先生が指揮をとって、水洗選別をしました!

 

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水洗選別

 

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金君による出土遺物の説明です。

 

去年参加した日本画の学生は動きが違いますね~スケッチ班は高畠町出身の渡部先生を中心に、屋代先生、金子先生らが周辺の洞窟遺跡を探索。

 

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大立洞窟のスケッチ

スケッチとなるとまた目の色が違くなります!

この日の夜は北野先生から借りた土器を使って、カレーを調理!(正しくは温めました…)

 

 

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土器での調理

 

3日目

最終日にも関わらず、朝からの大雨…午前中(朝)は整理作業になりました。長井先生から整理作業についての講義があります。その後、3班に分かれて作業しました。

 

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整理作業の講義(長井先生)

 

水洗した土の選別を行う班、発掘した石器を洗う班、洗った石器に注記する班。初めての作業に戸惑いながらも、教えてくれた歴産の学生のサポートで楽しみながら石器の整理作業を行えました!

 

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微細遺物の選別作業。1㎜までの遺物を逃しません。

 

洗浄

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注記

 

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上手です。

 

午後からは昨日発掘出来なかった日本画班が、発掘しました。去年参加した安藤・鈴木ペアは、流石の両刃裁きで石鏃と棒状礫を発掘しました!

 

 

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そして最後は現場で集合写真のはずが、4人足りない…車に乗れなくて、宿舎から自転車できたとのこと。。。4人で集合写真を撮りました!(笑)

 

最後の最後。宿舎からお帰りの際には、考古学研究室恒例になってしまった。車との追いかけっこ!!結果はご存知の通り毎度惨敗なのですが、今回は…。版画コースのこはくちゃんが、感動して号泣しちゃったとかしなかったとか…今回は勝っちゃった予感がしますね!

 

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現場を始めて5年目にして、美術科を巻き込んだ大きなイベント。美術科からすれば歴産の発掘調査に参加して、沢山の事を経験して沢山の事を学んだ。そして少なからず、歴史や考古学・そして遺跡について何らかの考えが変わったかもしれない。しかし、僕らも美術科の学生と同じ空間で活動して、色々な話をして少しだけ美術を知った。そしてそれ以上に考古学も捨てたもんじゃねー!自分たちの発掘は他の人にも誇れるんだ!ということを実感しただろう。それと同時に自分の専門を人に伝える難しさと、苦労してでも、少しでもそれが相手の伝わったことの喜びを噛みしめることが出来たのではないかと思う。

 

でもまだ「縄文アート展」は終わっていない。現在石器チュートリアルでは、「縄文アート展」に向けての準備が進んでいる。このチュートリアルには、発掘調査に参加して刺激を受けた美術科の学生も何人か参加している。歴産と美術科・そして発掘参加者で作る、「縄文アート展」。各コースの魅力と、日向洞窟遺跡の歴史。そして縄文時代という1万年を超える時間の重さ、その瞬間を探求するロマン。縄文と現代アートの融合「縄文アート展」の仕上がりが気になるところだ。

 

文責:大学院 1年 菊池

長井ゼミ学生一同

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