上山市金山は江戸時代の参勤交代の道:羽州街道金山越(国指定史跡)の「間(あい)の宿」である。宝暦、天明年間には18~20戸、80~90人が住み、宿屋や茶屋があったという。明治20年代にも同程度の戸数があり、昭和47年10戸、平成11年2戸と減り、今は廃村になっている。わずかに、かつての在住者が旧宅の畑を耕しに通っているにすぎない。
昭和47年時点の集落平面図を持ちながら歩くと感慨深いものがある。発掘された近世遺跡をビジュアルにみているような錯覚に襲われた。
国の史跡である金山越えの道がこの夏の集中豪雨で何か所も崩壊した。沢筋に沿って作られた街道が土石流の発生で、木道や橋が流され、護岸の石積みが崩れた。石積みや石塁は街道に沿って数えきれないほどあり、幾たびも修理され維持されてきた。土岐氏時代の明暦年間に新道として付け替えられた道らしい。史跡にして保存するということは新たな維持管理の始まりでもある。2年間の災害復旧事業、史跡の価値と安全を考慮しつつどう修理・管理していくか。
1996年文化庁選定歴史の道百選
1997年楢下宿とともに国史跡