歴史遺産学科

歴史/考古/民俗・人類
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2012-12-18

遺跡を残す努力

土地の記憶が形象化された場所を遺跡という。そして、土地と会話する手段の一つに「発掘調査」がある。担当者はその記憶をよみがえらせる役だ。

 

土地に刻まれた記憶は発掘調査してもなかなか答えてはくれない。しかし、その記憶の一部をとどめ置くことはできる。そうすれば、また多くの人々がその記憶と対話する。

 

土地が語る記憶は一つではない。時代とともに違った語り口がある。対話する人によって聞こえる言葉も違う。遺跡とはそんな場所だと思う。

 

埼玉県鳩山町赤沼瓦窯ーかつてこの遺構を残したいと思った人たちがいて、その努力で発掘した窯跡に覆い屋がかけられた。廃屋のようになってしまったが、周辺の確認調査が行われ、たくさんの窯跡・工房跡とともに、いま新たな史跡として現代によみがえろうとしている。土地の「記憶」が、ここの地域「らしさ」を物語るものとしてふるさとの住環境の整備に寄与するのだ。そして、この「廃屋」もその象徴として修理され、再生するという。

覆い屋を建てた人たちの想いに敬意を表したい。

 当時の粘土採掘場の遺跡から掘った粘土で瓦塔を作る。惚れ惚れとするいい粘土だった。東日本の一大窯業地がここに築かれた地質的要因の一つはこの粘土だろう。耐火度は低そうだが、須恵器程度の焼きものでは良好な焼き締まりをみせる。

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