県立うきたむ風土記の丘考古資料館で「高畠石の歴史と未来」というシンポジウムを開催しました。
このシンポは高畠町の歴史や景観の特色を、自然資源である「高畠石」と人との、1万年の関わりのなかからとらえ直そうというのが主旨です。地域の歴史的・文化的個性を見直し、まちづくりに生かそうという試みが全国で始まっています。文化庁が主導している新しい取り組みでは、貴重な文化財を断片的に指定・保存していくのではなく、それらが集積した場所や、その景観もふくめ、総体としてとらえ直し、脈絡をつけて保存活用していこうとしています。
高畠の文化財群を「高畠石」(これを基盤とする丘陵も含め)を軸にとらえ直すと通時的な「脈絡」でとらえることができ、それらが個性としていまの日常風景にあらわれていることが分かります。歴史文化のかおりに満ち、誇りあるまちに文化財をどういかすのか。シンポジウムに参加していただいた熱心な地域の方たちとこれからも考えていきたいと思います。
冒頭の写真は文化財保存修復研究センター岡本篤志研究員の発表の様子です。三次元レーザー計測による石切場の鳥瞰映像を、「赤青めがね」でみているところです。
今日の考古学基礎演習(1年生)では、大江町からあおそ復活夢見隊の村上弘子さんと木村勝子さんをお招きして、復活した伝統の青苧糸作りを体験しました。授業で「あおそ(からむし)」「あかそ」「かなむぐら」などの植物から、古代の糸作りに挑戦しているグループが菊地和博先生に相談に行ったのがきっかけで、今日の企画が実現しました。
菊地先生によるアオソ栽培や上布(高級麻織物)に関するミニ講義のあと、大江町でのアオソ復活の活動を紹介したビデオをみました(とても若作りの「菊地先生に良く似た人」が解説している某テレビ局取材の番組)。
そして、いよいよ苧績みの体験です。苧引き(茎皮から繊維をとる)して乾燥した繊維の束から細く取り分けた糸を丁寧に繋ぎ、紡錘車で撚りをかけていきます。手取り、足取りの指導で糸作りの苦労を実感した様子でした。
今日は、美術科工芸コース(テキスタイル)の学生20人が辻・山崎両先生とともに参加しました。アートを志す学生にとっても、自然素材や伝統のワザを学ぶことは、ものづくりの本質として欠かせないことだそうです。研究テーマやプロセス、表現手法は異なりますが、伝統を見つめる学生たちの眼差しには共通したものを感じてました。
飛鳥時代の窯跡から出土した古代の瓦には布目の圧痕が一面についています。工芸の学生たちは細かい織り目に驚いていました。古代の布そのものが出土することはほとんどありませんが、このような遺物を通して古代の紡織技術を知ることができます。
葉っぱが落ちた晩秋の山はいい。
高畠町大笹生と細越。農作業中のおじいさんから昔の石仕事の話を聞きながら、久しぶりに石切り丁場をあるいた。
大笹生は高畠で最も早く始まった丁場で、戦前にはすでに廃棄されていたという。ここで切っていた人はもういない。登り口の路傍には山の神のほこらがひっそりとたたずむ。かつての喧騒を物語る「ずり(石屑)山」を均した石垣が幾段にも重なる。
谷筋をひたすら登っていく。石降ろし道の脇や斜面に露出する転石のそばに間知石(けんちいし 護岸用の小型石材、農閑期の副業に多くの家が生産した)を採った跡が点在する。
谷を登り切ったあたりから幾筋も大きな堀割がみえてきた。その先には「一二八(いちにいはち)」とよばれる長さ180センチ、重さ300キロの延石を切った石切り場がある。いったいいくつあるのだろうか。石垣で囲われたずり山と道具修理の鍛冶小屋跡(石積み基礎)が点在し、それらを結ぶ道が縦横にはしる。
全国に凝灰岩・砂岩など軟石系の石切場が数あれど、高畠石の丁場群は独特の景観をもつ。簡単に言うと小規模分散型。延石と間知石の複合生産を基本としつつ、石材資源の分布という自然条件、石工・石屋の存在形態、農家の生業などと深く関わりながら展開した。高畠固有の自然・社会条件がこのような遺跡景観を生んだとみることができる。また、石切り産業や各地の丁場の盛衰は、大正期の高畠鉄道開通やトラック輸送の拡大など交通事情の変容と重なる。
石切場のある風景は、現代、高畠町ではどこにいても視界に入る。これらは高畠の近代社会を知る上で欠かせない文化遺産であると同時に、地域アイデンティティーをなす文化的景観にもなっていると思う。
そんなことを考えていたら、突然、目の前を脱兎のごとく走る動物が・・・。そう、ちかごろ宮城県岩出山では「カンガルー」もどきが某朝テレビで話題になっているが、こちらは正真正銘の脱兎である。
つわものどもが夢のあと。
ちょうど2年前。ここはスス・コゲデビューした思い出の地−岩手県埋文センター。
1年生の時に書いた図面を修正しながら再調査しました。2年間の自らの成長を確認する作業でもありました。ひさしぶりの収蔵庫内での作業。結構冷えましたが、ストーブを用意してくださいました。ありがとうございました。
ここに勤務する先輩に励まされながら・・・・。
そして、夜はいつものごとくたくさん食べました。テーブルに並んだ皿を見て一言「食いしん坊たちが夢のあと」