4月13日、土曜日、3年生初の野外調査に行ってきました。行き先は、高畠町の日向洞窟(国指定)遺跡です。縄文時代が始まる頃の研究の学史に名前を残す、全国的に有名な遺跡です。長井ゼミ主催で参加者は考古専攻生、6名でした。
午前中、高畠町にある県立うきたむ風土記の丘考古資料館を訪問。まず、私たち学生は、先生の紹介で渋谷孝雄館長にご挨拶。自己紹介などして、柔らかな雰囲気になったのち、館内の展示品を見学させていただきました。矢柄研磨器や無茎石鏃、有茎石鏃といった、私にとって初めての単語がずらり。いろいろと勉強させていただきました。ナイフ形石器と石刃は一見形が似ているものの、用途に違いがあるのか?同じ草創期に作られた打製石斧と磨製石斧は用途によって違いがあるのか?など、疑問や興味が湧いてきました。渋谷館長に打製と磨製の石斧の違いを伺ってみたりと、個人的には石斧に興味をもちました。
午後は日向洞窟へ。洞窟西地区の発掘調査者であり、高畠町教育委員会の井田さんと合流しました。以前にこの洞窟に来たときには気づかなかったけれども、洞窟の前には、芸工大生がデザインしたという看板がありました。高畠町のホームページには桜が咲いていましたが、残念ながら今回は・・・。
午後からは、洞窟周辺の分布調査を開始しました。男子3人は遺物の場所を目印にする釘を持って遺物探索、女子3人はGPSとノート書記と取り上げ管理。与えられた役割を全うすべく動きました。他の男子は「10点~15点は見つけたよ」とのこと・・・。その頃の女子達は「風が強い~!」とか、立ったり座ったりの連続なもんですから「腰痛ーい!」など、辛そうな声が耳に届きました。表面採集品が思いのほか多かったため、私たち生徒はこのまま採集を続けることとし、長井先生は次に来る時の下見ということで、渋谷館長とその他の史跡・洞窟遺跡の探索に出かけました。
17時近くになって先生が戻ってくる頃には、こちら学生も終わりに近づいてきました。最後に取りこぼしのある遺物を回収、皆で手分けして現地を略測して、今回の調査を終えました。この畑を掘ったらどれくらいの遺物が見つかるのやら・・・ものすごくワクワクします。
看板をバックにみんなで記念撮影しました。
個人的に重度の花粉症にかかっていたものですから、内心ビクビクしていましたが乾燥しておらず、強風だったため、花粉が飛んでなかったので良かったです!
最後に、昨年の新庄の調査では2~3点ほどしか見つけられなかった遺物を、今回は10点以上見つけることが出来ました。少しずつですが、普通の石との違いを見分けられるになったのではないかと実感しました。
今日(19日)の午後(13:30~17:00)、第4回目の「高畠石ゼミ」が開かれました。1年間のまちあるきを経験した2年生3名が「ナツカワ」「サイロ」「屋敷明神」についてそれぞれ発表しました。(最近硬い石を扱う石器グループが活躍しているので「石ゼミ」の名がおびやかされつつある)
総延長3km、戸数にして170。春夏秋冬、暑い日も寒い日も、1軒、1軒歩いて集めたデータ。みんなの汗と涙の結晶です。この膨大なデータを、2年生たちがすべてエクセル入力し、石材の利用地図をイラストレーターで描いてくれました。
そして、いまは「集める」「分ける」「相関を探る」という分析に挑んでいます。その中でいろいろ仮説を立てて、思考し、検証データを探していくことが重要です。
発表内容は4年生の卒論より進んでいるかも。これからますます期待が高まります。
こんど訪ねるときはこれまでとは全然違う風景がみえてくるはずです。お世話になった村の人たちにおみやげ話をもって、もう一度会いに行きましょう。
今年度の高畠まちあるき(通算第15回目)は5月12日(日)がスタートです。
あらたに参加したい方、大歓迎です。気軽に北野か長田までお声掛けください。
新入生も入ってきました。心を新たにがんばりましょう。
さて、昨年に引き続き歴史学分野のひとつとして古文書調査のチュートリアルを実施します。
メニューは大きくわけて3つです。
①くずし字解読講座 ②古文書整理 ③地域史研究。
①は毎週集まって、くずし字で書かれた古文書を解読します。
歴史系博物館の学芸員を目指す方は必須の能力です。でも、講義だけではなかなか読めるようになるのは難しく、継続的にくずし字を見ることが必要です。その機会としてこの講座をつくりました。
②は、東日本大震災で被災した古文書のクリーニング、そしてそのクリーニングした古文書の撮影を行うというものです。クリーニングは東北大学、撮影は本学で実施します。月1回ペースです。
③は、大学近くの地域の歴史を現地を歩いたり、古文書を読んだりしながら勉強します。不定期に勉強会を開きながら進める予定です。
自主的活動ですので、時間が合う時にどれかに参加するかたちでも構いません。
1年生も他学科の方も大歓迎です。
とりあえず、話を聞いてみようという方は、
4月18日(木)18時30分から405講義室
でガイダンスをしますので、お集まりください。
昨年後期の考古学基礎演習で、6人程度の班に分かれ、それぞれ川で石を拾い、拾った石の分類を行った。この授業で私たちは、大学周辺の地質や河原石の組成を班ごとに考察して、その結果を皆で協力して発表した。しかし、石の種類は意外にも多く、区別するのが難しかった。各班でばらばらに名付けられ、統一した分類をすることが課題として残っていた。授業が終わっても調べ続け、最終段階までは来たものの、まとめていくにはもうひと押しというところだった。
そこで、3月1日の正午ころ、岩石学者のお話しを伺い、ヒントをいただくことを目的として、山形県立博物館に行ってきた。その日は長井先生が午前中から博物館で調査をする予定であった。誘っていただいたので私も行ってみた。
これまで私たちは、見た目や色、重さなど、感覚に頼って石の分類をしていた。しかし、含まれる鉱物や基質?組織?で分けることを知り、そうした時に、私たちの考察とは全く違うものになることも知った。そのため、頭の中が少々混乱してしまったが、同じ石なのに見方や見る人が違うと全然違った考察になるのは、当然のことなのだが、面白いと思った。
長井先生と博物館学芸員とのお話の中には、鉱物の名称など聞いたことのない言葉もあった。それでも、今回お話を聞いたことで、独断により奇怪な名前がついていた石や結論を出せずにいた石についてはなんとか解決が出来そうだなと感じた。
時間としては一時間ほどであったが、とても濃い時間を過ごすことができた。
今回いただいたヒントをもとにして、これから最終の分類、見直し作業を行って、まとめていく。聞いたお話をそのまま使うのではなく、自分の考えをそこに加えて、自分なりの結論を導いてみたい。あと一息、頑張りたい!