1月1日(水)
宿をチェックアウトし、またチャリに乗って郊外のお寺に向かう。KUTAO寺とCHED・YOD寺。ともにチェンマイの古刹である。タイのお寺の正月行事を見ておきたかった。県外からも大型バスで団体参拝がたくさんきていた。
CHED・YOD(1455年建立)は古い塔や祠堂が生きていて趣がある。参拝者の頭上からぶら下がっている紐が何か不思議に思っていたら、頭に巻いてお参りし、終わるとこれを持って帰る。ミサンガにするのだろうか。何やら人だかりがするので行ってみると料理や飲み物が無料で振舞われていた。ひそかにお代わりをして昼ごはんにさせてもらった。
夕方、タイの友達と再会。車で懐かしい土器作り村に連れて行ってもらう。7年ぶりの訪問。お世話になったポターの家に行くと、かつておばあちゃんの家があったところに近代的な家が新築され、周囲のたたずまいも大きく様変わり。二人のおばあちゃんがもう亡くなったと。時の流れを感じる。後日再訪の約束をして町に戻る。
あいかわらずの猫たち
年越しのターペー門(チェンマイの東門)広場のカウントダウンイベント
12月31日(火)
ピン川のほとりにたたずんで読書していると、5~6匹のナマズの入った袋を持った人が続々と現れた。道端で売っている親父から袋単位で買って川に放してやるのだ。若いカップル、夫婦、家族連れ。魚を川に、鳥を大空に放つ。仏教の善行の一つだ。日本にも古くから放生の習慣は伝わっている(放生会)。
川岸にナマズを放つと彼らは底の浅い泥に身を寄せしばらくその場所を離れない。客が帰っていくとナマズを売っていた親父が網を持ってやってきて、これをまた捕まえようとする。なぜか滑稽に見えてしばらく見つめていた。
ふと思い出した。今日は大みそかだ。
夕食を食べてふと夜空を見上げると、大きな明かりがポツリ、ポツリ飛んでいく。そうか、これがあの「コムローイ」かぁ。きれいだ・・・・。
コムローイはチェンマイのロイクラトン祭り(陰暦12月の満月の夜)の風物詩で日本からも毎年ツアー客が押し寄せる。年越しの大みそかは旧市街ターペー門広場で上げられる。かねがね一度は見てみたいと思っていた。
カウントダウンのあるターペー門のイベント広場はロックコンサートで歩けないほどの人だかり。広場は人種のるつぼで様々な言語が飛び交う。「FREE HAGS」のボードを掲げてハグする女の子たち。沿道は歩行者天国で延々続く屋台。即席マッサージもある。こちらも人、人、人・・・。
その傍らで、天の仏に感謝の気持ちを捧げ、日々の生活が安寧であるように厄払いの意を込めて、コムローイを飛ばす。家族が、恋人同士がそれぞれ願いを込める。着火してから空気が暖まるまで待つ時間が格別だ。そして高く舞い上がれと手を離す。ふわりと揺れながら夜空に吸い込まれていくコムローイを見つめる。その表情がまたいい。
20B、40B誰でも何個でも買って飛ばすことができる。街中でやるので街路樹や電線に引っかかって燃えているのもある。花火を付けて飛ばす輩もいる。予想通り火事になったこともあるそうだ。
カウントダウンに向けてその数は徐々に増していく。一体何万、何十万のコムローイが飛ぶのか。そして大輪の花火がバンバンあがりついにその時を迎える。その迫力と美しさは筆舌に尽くしがたい。ロイクラトン祭りのコムローイ一斉上げは、夜空を埋め尽くす規模でこの比ではないという。恐るべしチェンマイ。
火が消えるとコムローイは落ちてくる。翌朝の街中がどうなっているか。想像通りの光景だった。
GHのそばのお寺。この時期寒いのか寺に住む猫や犬は服を着せられている。脇侍の様に寝転がる子猫
12月30日(月)
ようやく暖かくなってきた。朝からチャリに乗ってハイウェイ沿いにあるチェンマイ国立博物館へ。半開きの門に年末年始31日・1日は閉館と書いてある。安心して入っていくが、なぜか休館中。屋外展示の移設した窯跡を見学して帰った。後で調べたら月・火が平常休館日だった。
帰りに親子がやっている小さな床屋に入った。迷わず爺さんの椅子に座る。髪を切るハサミ、顔を剃るカミソリさばきにこの道一筋の職人技を感じた。さっぱりして午後は気分よく自転車で市内の寺巡り。GHの隣の寺に住みつく猫と戯れながら読書して過ごす。この夜はじめて寝袋を脱いで寝た。
チェンマイのサンデーマーケット
12月29日 濃霧の中チェンコーンを出発。午後チェンマイに着く。ランナータイ王国時代の堀に囲まれたチェンマイ旧市街の路地には数えきれないぐらいのゲストハウスやサービスアパートメントがある。15箇所ほど探してなんとか空き部屋が見つかった。しばらく気ままな一人生活を楽しむこととする。
たまには「観光」もいいか、と気楽に構える。結果的にラオスに続いて少数民族の文化継承と共存について考える機会になった。
チェンマイの日曜日といえばサンデーマーケット。国内だけでなく世界中から年末を利用して観光客が押し寄せている。ラオスの田舎とチェンマイの雑踏のギャップは大きいが、共通するのはどちらも安らぐ空間であること。
ライトアップされた寺巡りをし、露天の店を歩く。食いもの屋台が日本と違って品が豊富。マンゴーライスとカノムチン、その他もろもろを食べる。