歴史遺産学科

歴史/考古/民俗・人類
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2014-06-29

懐かしい場所

高畠町高安(こうやす)は6年間通った町だ。2002年~2007年まで夏になると毎年1カ月をここで過ごした。高安窯跡の発掘調査。ここで何人もの学生が育っていった。

 

今度は鳥居の調査でやってきた。鳥居を探していると「あら先生!」Sさんに声をかけられる。赤鬼で学生たちの昼食を作ってくれていたおかあさんだ。懐かしい人たちに会ってしばし昔話。

 

秋葉神社の鳥居を測っていると、今度はKさんが声をかけてくれた。

Kさん家は窯跡の下にあるお宅で、毎日ここをを歩いて現場に通った。そこには、ロッキーという名の大きなサモエド犬がいて、みんなを和ませてくれた。ちょうど2007年の夏、最後の発掘が終わると同時に13年の命を終えた。

 

二つの鳥居を測り終えて帰ろうとするとKさんが冷たいお茶とさくらんぼを用意して待っていてくれた。3人の学生たちとお宅に上がらせてもらって昔話に花を咲かせた。

ロッキーの散歩係だったひいじいさんは83歳になった。ちょっと耳は遠くなったが元気だ。週二日デイサービスに通っている。奥さんが毎年やっていた現地説明会の資料を全部持っていてみせてくれた。最後の年はロッキーが表紙を飾っていた。

 

M先生のこと、犬の宮猫の宮の卒論で通ったS子のこと、いつも通ってくるサルやカモシカ、たぬきのこと。もう犬は飼わないんですかというと、後ろから元気な孫がふたり走ってきた。こっちのほうが忙しいんだと。

故郷に帰ってきたような心地よい時間を過ごさせてもらった。

 

 

今日のまちあるき、予想に反して天気に恵まれた。本当に不思議である。なんでこうも晴れるのか?

今回は鳥居の補足調査2班と建造物調査2班に分かれた。建造物では高畠石製の消防ポンプ小屋、石御堂、石番小屋の3か所を実測した。

遠路、宇都宮市役所から職員の方が来られ調査に同行した。大谷石の調査研究をされている方である。

次回は7月27日(日)暑くなりそうな予感。

 

 

 

2014-06-28

親子で縄文土器を作ろう in 芸工大

 

県立博物館のプライム企画、小学生対象の縄文土器作り講座が開催された。

県博と歴史遺産学科の連携講座で、2週にわたって土器作りと野焼き、石器作りを行う。

 

山形市内から集まった小学校1年生~6年生まで多彩な顔触れ、保護者も含め25名が土器作りに挑戦した。小学校の子どもたちの集中力は2時間が限界と思い込んでいたが、予想に反して午前中、一切休憩もせずに真剣に作業に取り組んでいた。

予定外だったが、保護者にも全員作っていただいた。それが功を奏したのか。父母の真剣な姿が子供にも伝わったのかもしれない。

 

先日の中学生もそうだったが、吸熱効果を利用した土器による水貯蔵の話は、小学生もすぐにわかってくれた。「打ち水」の効果を家庭科で習ったそうな。煮炊きに使った土器は水もれしない・・・実験すると疑い深い子供はススの着いた土器の方をわざわざ近くまで寄ってみていた。小学生はのりがいい。こんな子供たちばっかりだと授業楽しいだろうなと・・・・

 

最後、時間が余って人形なども作ってもらった。子供の発想、造形力には驚かされる。

 

2014-06-28

傷んでいく文化財とどう向き合うか。

日本最古の石鳥居

元木の石鳥居の保存が急務になっている。成沢八幡のほうも同じ状況にある。

1,000年を越え、老年期に差し掛かったこの凝灰岩鳥居をどう延命するのか?

鳥居は建造物指定だ。建造物は解体修理しながら保存していくのが古来からの考え方である。解体して部材を強化し、組み立てればそれでよい、ということになるがはたして、それがベストなのだろうか。どんな価値を継承するのか?意見は分かれる。そして議論は続く。

 

 

2014-06-22

文化財の修理もいろいろ

文化財には無形、有形、小さなものから大きなものまでさまざまある。

お城の石垣は大きい方だろう。

 

有形文化財や史跡にとって一部を解体して修理する外科手術は最後の手段だ。そして、延命のためには、いつかはその時を迎えなければならない。人間に例えられるゆえんである。人と違うのは「尊厳死」はないことになっている。

 

石垣の場合は大学の文化財保存修復研究センターのなかでやっているような修理と違って、野外で行い使う道具も大きく大雑把な印象がある。しかし、やってることは変わらない。文化財が持つ本来的な価値を失うことがないようオリジナルの材料や技術を吟味し、修理技術を継承することも含め関係者が力を合わせる。修理の理念から材料や工法の検討、細かい議論のプロセスを残しながら作業が進められる。だから時間がかかる。

 

2011年3月11日からもう3年余りが過ぎた。小峰城本丸南面石垣、その姿がよみがえりつつある。

 

 

鷹の目(西)の復旧

 

2014-06-21

不思議な出会い、偶然が必然に変わる時。

気になる石鳥居があって高畠町の三条目を再訪した。相森山の参道に立つ熊野神社の鳥居だ。山頂に立つ一つの社殿を両裾にある二つの集落が祀る。いまでは春と秋にそれぞれ分担してお祭を行う。両集落からのぼる参道の尾根道には対峙するように2基の石鳥居がたつ。ともに宝暦年間の銘がある。

 

調査し終わって山を下りると、近くの小屋から物音がしたのであいさつがてら訪ねてみた。会社を退職後、故郷の村に帰ってきた旦那さんがひとりで大工仕事をしていた。子供の頃、鳥居をくぐって山頂で遊んだ話等を聞かせてもらった・・・・

 

挨拶して別れた後、学生がこの石鳥居をひとりでスケッチしていた。小一時間、ほかの鳥居を調査して戻ってくると、旦那さんがおもむろに一枚の絵を持って現れた。学生の後ろ姿を見ながら、気にかけてくれていたようだ。

 

この絵は埼玉に住む自分の妹が、6年前に帰省した際、姪っ子の夏休みの宿題に一緒に家の前で写生したものだという。いまはもう伐採されてしまったスギの木も描かれている。さくらんぼの木やラフランス畑は今も健在である。

私たちが気にいったこの風景を、同じように故郷の原風景として愛着を持った一つの家族の物語に触れたような気がした。

 

小屋の中の物音に気づかなければ出会うことのなかった絵画。

まちを歩いていると、こんな偶然にときどき出会う。

引き寄せられるように出会ってしまう。

そんな思いをして育っていた学生も少なくない。

感度のいいアンテナをあげていれば、情報は向こうからやってくる。

 

 

2014-06-19

滝山郷土史研究会・前田地区の方々から聞き取り調査・研究会

佐藤チュートリアル「石碑と古道研究会」では滝山地区の石碑調査を行ってきましたが、いまはこれをまとめるべく、東北文化研究センターから出してもらえることになったブックレットの作成にいそしんでいます。

先週13日には山形市前田地区の南原公民館にて、自分たちの研究を進めてきたなかでの疑問点などを、滝山地区の歴史に詳しい滝山郷土史研究会と前田地区の方々から聞き取り調査・研究会を行いました。

事前にこちらから質問事項をお送りし、当日はこれについてひとつひとつ、郷土史研究会の新関会長・月田副会長はじめ地域の方々5名から懇切丁寧にご回答を頂戴しました。
内容は、「瀧山塔」だけではない湯殿山や蔵王山の石碑についてどう考えるか、それぞれの石碑はいつ頃から現在地に立つようになったのか、土坂の観音堂にある畜魂碑はどのようないわれがあるか、瀧山の水神信仰や水利に関するさまざまな問題などなど、時間が経つのも忘れる程、興味深いお話しを伺うことができました。
この成果を是非ブックレット作成に生かしていきたいと思います。

滝山郷土史研究会および前田地区のみなさま、お忙しいなか私たちのために時間を割いていただき、またいろいろご教示いただき、ありがとうございました。

2014-06-15

中学生と縄文土器を作る

山形市内の中学生が芸工大にきて、一日ワークショップを楽しみました。

歴産の演習室では大学生のお姉さんたちの指導を受けながら、本物志向の土器作りに挑戦しました。

 

ラオスの土器作りの映像を見ながら、伝統社会に暮らす人々の生活の知恵にも触れました。熱帯地域でなぜ水甕が必要なのか。土器に入れた水が漏れていく実験を見ながら、水が冷たく保存されるんだと言うと、即座に理科の授業で習った「吸熱」効果だ!「打ち水」のことも知っていて逆にびっくりさせられました。

 

 

2014-06-10

東青田若松墓地前調査

 こんにちは、佐藤チュートリアル石碑と古道研究会です。更新が大変遅れてしまいましたが、5/2(金)に東青田の若松墓地前の石碑の調査を行いました。
 チュートリアルのほとんどの人が2回目となる今回は、4年生がサポートにつきながらの調査となりました。
 前回の龍山神社での経験から石碑の寸法を測ったりする作業はスムーズに進みましたが、解読に予想外に時間をとられました。
 石碑の表面がすり減って文字が読めない事態を初体験し、また1つ成長できたような気がします。

2014-06-04

未来に伝える山形の宝-精神と美

歴史遺産学科と連携協定を結んでいる山形県立博物館で、6月7日~9月15日に企画展「未来に伝える山形の宝」が開催されます。

 

学生たちはボランティアとして設営に協力しているほか、広報媒体のデザインも行いました。垂れ幕やポスター、図録、チラシ、リーフレット、入場券

 

現場で体験する一つ一つの作業を通して学びを深めていきます。

2014-06-03

高畠石のまち歩き「遊びっ子クラブ・土曜塾」に参加

5月24日。学生3人で、高畠地区公民館主催の高畠石まち歩きに参加してきました。当日天気はとてもよく快晴で暑くて熱中症が出ないかが心配でしたが、そんななか、まち歩きコースは高畠の名産高畠石を巡り、石の加工場や石蔵など見どころの旧高畠駅舎も巡る充実した探索コースでした。

 

開会式の様子。

 

右端は御年90歳のMさん。

むかし間知石を切っていた石工さんで『高畠石の里をあるく』に登場していただいた方である。石工サミットにも来ていただき、今回ウォーキング?にも自転車で参加してくださった。

 

 

 

 

 ガイドは高畠地区公民館の館長さんと石材加工店のHさん。お二人とも丁寧に教えてくださり初めて高畠石を学ぶものには楽しみながら探索できるものでした。

 元気旺盛な高畠の子供たちに混じって九州から高畠に移住したばかりの夫婦の方もご一緒で、皆さんと会話しながらの楽しい雰囲気で探索コースを巡れました。こういった高畠石を通した地域参加型の行事は、地域のコミュニティーの輪を広げると同時に、地元の子供たちの教育にも一翼かっていることを実感しました。

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