歴史遺産学科

歴史/考古/民俗・人類
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2015-08-31

大野平遺跡での竪穴住居の復元~時代を経て、現代に蘇る旧石器~

8月10日に南陽市の大野平遺跡にて長井先生と二、三年生で竪穴住居の復元を行いました。大野平遺跡とは主に縄文時代早期から中期に営まれた集落跡で、東北南部における縄文時代前半の様相を明らかにするうえで貴重な遺跡とされています。

この竪穴住居の復元は南陽市の教育委員会とタッグを組んで行われたもので、より多くの人にこの遺跡を知ってもらうために始まったプロジェクトです。遺跡の知名度の促進とともに芸工大としては当時の道具を使用した竪穴住居の復元を目的にプロジェクトを行いました。それに伴って製作した道具が下の写真です。

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石器時代のヨーロッパで使用されていたシカの角のツルハシや木の鋤などの堀具を製作しました。特に石器の一つである石斧の製作には最も重点を置きました。石斧は地面を掘るための道具として考えられている石器で、今回の機会を利用して、授業で行った実験考古学の応用として、石斧で地面を掘ったときの使用した痕跡を調べることを目的の一つにしました。これらを使って地面を掘り、竪穴住居の復元を行います。

 

まず、現地に到着してすぐに私たちは竪穴住居の柱に使う木の皮を、石器を使って剥ぎました。

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昔の人はこのような掻器と呼ばれる石器を使って木の皮や動物の皮を剥いでいたようです。

実際に使ってみると意外と剥げるものです。

 

次に地面の掘削を行いました。地面を掘削する際、南陽市の教育委員会と私たちの掘る範囲を分け、教育委員会の方々にはスコップなどの現代の道具を使って掘っていただき、私たちは当時の道具を使って掘削しました。

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製作した道具で地面を掘っている様子です。最初は探り探りやっていましたが、だんだんと道具の扱いにも、慣れて掘り方もさまになってきました。

 

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地面の掘削が終了しました!写真を見ての通り、深く掘り下げることができ、約50cm程度掘ることができました。当時の道具でもしっかりと地面を掘ることができました。

 

掘削した後、竪穴住居の柱を入れる穴を作りました。深さは約70㎝でその穴に先ほど皮を剥いた木を差し込み、柱にします。

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穴に柱を入れる作業は重量や形の違いがあるため、協力しても理想的な位置に建てることがなかなかできませんでしたが、やっとの思いで完成させました。

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今回の作業はここまでで、残りは秋に行います。作業を振り返って思ったことは当時の道具を使ってここまで掘れるとは思っておらず、現代の道具にも負けていないと感じました。

秋の作業は建物の屋根となる部分の材料となる萱を刈る予定です。それに向けて萱刈りの道具を製作しています。完成は来年度を予定しています。

文・歴産2年 永井秀都

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