10月5日〜7日の3日間で北海道札幌市の埋蔵文化財センターにオープンリサーチセンター整備事業の土器の使用痕観察の調査に行ってきました。
参加メンバーは「ススコゲを愛する会」の皆です。
1週間前の栃木埋文での調査もこのススコゲーズ(さっき考え付いた!!)で行ってきました。
今回はK39遺跡・K435遺跡・C504遺跡という擦文時代の3つの遺跡の土器の使用痕を見てきました。
2年生と私は初めての擦文土器!!!
今まで同じ時期にあたる古墳時代後期〜奈良・平安時代の土器の観察を行ってきましたが・・。
ぜんぜん違いました。
すごいとは聞いていましたが、ほんとにすごいススとコゲにびつくり。べったりびっしりなんじゃこりゃ。
4日前に観察した押出遺跡の縄文土器に近いものを感じました。
言うまでも無く大興奮のススコゲーズです。
TUADススコゲ2代目&4年生が大はしゃぎなんですすから、2年生が嬉しくないわけがないですよね。
さっそく土器の周りをうろうろしまくる女子達。
もちろんK先生&東大院のSさんもうろうろ。
私も興奮しながらも、こういう風に皆の目の色が変わっていくのを見るのがとても好きなので、皆の顔も観察。
疲れていても興味深い資料を見ると途端に力が湧いてきて眠気も吹っ飛ぶ。
恐るべきススコゲパワー。
さてさて、この時期の北海道の住居にはカマドという調理施設が住居内にありますが、屋外には炉があることが特徴です。
あえて外で炉を使うには何か訳があるんでしょうか。
冬は寒いだろうし、カマドがあれば火の扱いは楽じゃないのかしら。
なので、カマドで使った土器と炉で使った土器を観察して判断します。
しかし!!北海道の住居は火災住居が多いのも特徴。
つまり、家燃える=土器も燃える
わけです。ちなみに調理の痕跡も一緒に燃えます。
私達は「二次被熱」の土器と言いますが、この土器は赤い部分と黒い部分はなんともすごいグラデーションで調理ではまず付かない痕跡なため、人目で分かります。
栃木の調査で「二次被熱」デビューした2年生。
しっかり見分け、観察していました。
負けてられない4年生!!こんな時期に資料調査してる4年生はまずやばいって話を何度も耳に入れつつも、使用痕を見るためならall OK.とまったく気にしていない4年生!!
今までは二次被熱の土器を見ると、調理の痕跡はあきらめていたのですが、今回は燃えていても見分けてやる!!という気持ちで、火災に会う前の土器の状態、どんな調理に使ったかという痕跡を探しました。
これら遺跡の土器は燃えていても、他の遺跡に比べると使用痕の残りが良好でした。
カマドか炉か、、どんな調理か、、
自分の頭でうんうん悩みながら、時には皆と相談しながら観察します。
狩猟や漁猟を中心とした生業を基盤としていた北海道の人たちは何を食べていたのでしょうね。
私の頭の中には脂のたっぷり乗ったオホーツク海のサーモンしかありません。
そんなことを話しながら観察を行う私達は地底人です。
空が明るい間はずっと地下の収蔵庫にこもって土器とお話。
暗くなると地上に出ます。
だからといってひきこもりとは違いますよ。
地底でも地上でも、いつでもどこでも元気一杯全力疾走なのがススコゲーズですから!!
それでは『ススコゲーズin北海道 −地上人編ー』をお楽しみに。
大学に帰ってからは、現地で記録した実測図と写真を整理し、器形分析のデータとあわせて、当時の土鍋の作り分けと使い分け、調理方法を研究しています。
モノの観察から、時代、地域によって多様な調理の実態、人々の営みがあることがわかってくるのがとても面白いのです。