11月18日夜半〜19日は上空に寒気が入り込み、日本海側の各地は大荒れとなりました。
19日朝は雪。明け方には北陸名物の「ぶりおこし」がとどろきました。この冬の雷鳴を聞くと、北陸に来た、という実感がわきます。本格的な雪になる前、11月下旬〜12月にやってくる暴風雨と雷を北陸(富山湾周辺)の人はこうよびます。これは富山湾でぶり(鰤)がとれはじめる合図で、この雷を「ぶりおこし」というのです。地域の自然と生業に根付いた言葉といえます。北陸人にとっては木々の雪吊りをするなど「冬ごもり」の季節の合図でもあるのです。
長年発掘をやっていた私たちにとってはいやな雷です。鉛色の空から冷たい雨が降り続き、やがて湿った重い雪が降ってくる。逃げ遅れないようにと悪条件のなかでもがく。そんなときに決まって大事な遺構がでてくる。思い起こすと毎年そんなストレスのなかで調査をしていたような気がしてきます。
しかしそんな風土も、離れて暮らすとなぜか懐かしく、自分の体内に刻まれた生活のリズムが甦ります。いまでは、そこに暮らす人々や町並み、景色までが違って見えてきます。金沢城の石垣は赤色や青色の「戸室石」(安山岩)で出来ており、この季節、しっとりと濡れると色合いが変化します。降り積もったケヤキの落ち葉が強風に舞うなか、木々の緑や落葉まぎわの紅葉が石垣に映えていました。
今年は2箇所の庭園遺構の調査が注目されました。寛永期の本丸庭園跡、寛文〜元禄期に整備された玉泉院丸庭園跡です。
寒風のなかで調査している人たちにとっては、情緒に浸っている間はありませんが。