歴史遺産学科

歴史/考古/民俗・人類
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2010-01-09

夕日

兄弟村での技法や器形の違いとその要因を探るため、ブットーンのPさんのモーウナム作りを観察した。

Pさんの第2次、第3次叩きのディン・ドゥは、重量は1,139gと巨大。重くないと膨らまないよ、と。Pさんはスィン・チュムという新しい器種を作っている。これはレストランで使うしゃぶしゃぶ用の調理なべである。2年前から作り始めたという。サワンナケートの店に売るそうだ。蓋付で10,000kip。
北タイで作られているトムヤム・セットとおなじような性質の土器だ。ちかごろ、日本のタイ料理店でもトムヤムクンを注文すると、トムヤムセットに入って出てきて温かいまま食べられる。
北タイでも都市近郊の村ほど、非伝統的器種を生産する傾向がある。両村の生産器種の違いはポター達の社会環境も関係している。

この日は作り始めが遅く、7個のモーウナムと2個のモーケンを作り終えたのは夕方5:30ごろだった。
今日は先日作ったスィン・チュムを22個焼く予定だった。しばらくすると日没で暗くなる。学校から帰ってきた子供たちにお母さんが簡単な指示。子供たちは近くの田んぼに、焼成する土器やわらや燃料の竹をリヤカーで運ぶ。段取りをする。Pさんは土器作りが終わると田んぼにいってすぐ野焼きの準備。素早い連携であっという間にセットして点火となった。何と無駄のない動きか。野焼きの記録に追われながらも、あっけにとられてしまった。

夕方、ひとりで夕日を眺め、2週間を振り返る。田で草を食べる水牛、水を汲む子供たち・・・・ここでは見慣れたそんな風景のなかに自分の生活を重ねてみる。考えさせられることは少なくない。平穏な生活の中に割り込んできた異邦人を温かく迎えてくれた村の人たちに感謝しつつお礼を言って別れる。協力してくれた土器作り民族誌をしっかっり書くことがせめてものお礼だ。
さて、学生たちに何を伝えられるのだろうか。 夜、アシスタントの一人の誕生日(サプライズ)と私たちのさよならパーティが開かれた。ゲストハウス裏の人造池に張り出したデッキを貸し切り、風船等で飾り付け、ローソクをいっぱい立て、ムードのある音楽を流す。夜空は満天の星。最後は足首に風船をつけ、全員が走り回って風船を割りあうというゲーム。童心に帰って汗をかいた。顔にケーキのクリームが塗られたまま、夜11時頃から荷物のパッキングを始める。部屋にある土器の山をどうやって日本に持ち帰るか。深夜まで格闘が続いた。タイやラオスの別の村ではモーナムは普通4kg程度であるが、ここでは肉厚に作るため5〜6kgと重い。モーケンもかなり重い。預け荷物と機内持込み荷物をどう仕分けるか。空港カウンターのおねえさんとの攻防戦に備え、入念な作戦(オーバーウェイト対策)を立てる。

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