青森県八戸市に行ってきた。
是川縄文館のボランティアグループの人たちと土器の野焼きワークショップを行うためである。昨年7月に開館した八戸埋蔵文化財センター是川縄文館は国史跡:是川中居遺跡を中心とした縄文遺跡群の中にある。遺跡は日本の世界遺産暫定リスト「北海道・北東北を中心とする縄文遺跡群」の構成資産でもある。
以前の縄文学習館時代も含め、何度も学生たちと訪ねた懐かしい場所でもある。ここは長い経験の中で、土器作り体験学習のノウハウがあり、運営や研修もしっかりしていると聞いていた。かねがね話しをうかがってみたいと思っていた矢先だった。活動に実験的要素を取り入れるということで、今回の野焼き実験となった。諸条件を変えた2か所の野焼きがセットされていた。
この日、降水確率30%。やや不安な天候ではあったが、着いたときにすでに記録の準備は整っていた。
さあ、点火!というころ、にわかに空からぽつぽつ。点火して火を大きくするやいなや、雨脚が強まり、ついには雷雨となった。長い間、野焼きをしているなかで「雨男」の異名をもらってはきたが、このタイミングでの雨は経験ない。みなさん、ずぶぬれになりながらも必死の作業でなんとか土器や土偶を救出した。
後片付けがすんだあと、縄文館に戻り、この日は野焼き実験の講義となった。
翌日はすっきり晴れ上がり、午後から縄文時代の土鍋調理の話をさせてもらった。熱心な方々が大勢いて楽しい時間を過ごすことができた。
今回、卒論を抱える4年生2名が同行した。一人は縄文館で是川の注口土器の観察、もう1人は博物館で玉の観察をした。それぞれが2日間黙々と資料と向き合い、記録をとった。おかげで土器や玉と会話するための言語を少し獲得したようだった。担当学芸員の方々が夜遅くまで付き合ってくれたそうな。ありがたいことである。