終盤に入り、難敵が続く。
どこのお宅も奥が深い。裏にまわると続々と石が顔を出す。下駄子町はかつて屋代川やその支流の氾濫に悩まされてきた。梅雨時期にはしょっちゅう水がついたそうだ。
AさんやTさん宅の東側には本格的な石塁が築かれていた。信玄堤や直江石堤には規模では及ばないが、石の産地−高畠らしい切り石積み石垣である。家人は先祖が作った遺構として誇りをもって保存している。
Aさん家の前面を区画する石塀は、増水した水が家に流入しないように作ったものである。入り口には堰板をはめる溝がある。
ここでは農業用水から取り込まれた入川樋(イリカド)が各家庭を順に潤す。床下に入り、台所や庭の池を通って水をリレーする。渇水期の現在も水は流れている。
水と共に生きる。