歴史遺産学科

歴史/考古/民俗・人類
*
2012-11-01

現説−米沢市戸塚山古墳群


遺跡の発掘調査が終わると成果を公開する現地説明会がある。業界用語で「現説」という。

8月に調査した175号墳の現地説明会を今日開催した。調査を終えてから時間がたったのは、10月に米沢市教育委員会が調査した195号墳の見学と合わせて行ったためである。

天気に恵まれ、穏やかな1日だった。平日の日中にもかかわらず地元の方々が40人ほど来てくださった。若い方からお年寄りまで多彩な顔ぶれに正直おどろいた。

現説は例年、発掘現場を運営する3年生が担当する。1週間前から配布資料作りと遺物整理に時間を費やし、当日は朝から安全に見学ができるように会場設営を行った。

今年の現説、3年生は完全に裏方にまわってくれた。おかげでスムーズな見学会が開催でき、見学者にも好評だった。あの酷暑の中で発掘をやり、秋が深まったころとなったが現説をやり終えた。これでやっと発掘調査の半分を折り返したことになる。あとは出土品整理を進め、これからいよいよ調査報告書の執筆編集へなだれ込む。修羅場・・・・・

現説が終わり、現場を撤収する姿をみて・・・・。ひと夏越えて、ふと気がつくとなんとなく一回り大きくなった。なんとか半人前の考古学徒になったというところ。

来春がまた楽しみである。お疲れ様。




現説が終わってから、市教委の人に案内してもらって、戸塚山丘陵の北斜面を歩いた。

考古学やってる人なら知っている。終末期古墳が丘陵の北斜面にはないことを。
南に開口するという約束事がある横穴式石室墳は北斜面には造れないのである。常識である。

しかし、この常識と思いこみが危険なことは重々承知のはずだったが・・・・

戸塚山の北側で3基の横穴式石室墳が新たに発見された。
その場に立ってみてはじめてわかることがある。古墳は北斜面裾の平坦地にあり、南側は広くはないが開けている。微地形をみながらしっかり場所を選んでいるのだ。

しかし、あえてこの場所である必然性はない。立地論だけですべては説明できない。多面的な解釈が要請される。

最近の投稿

最近のコメント

アーカイブ

カテゴリー

メタ情報

東北芸術工科大学
TUADBLOG