昨日の解体の終盤に左柱を引き上げると、台石の底にぽっかり穴が開いていた。はて?
今日は朝から沈下した左の台石を引き上げ、基礎を固め、柱を再設置して組立が始まった。江戸期の根固めには川砂利(円礫)が使われていた。
行き交う村の人々が興味深そうにのぞいていく。そして、神社や祭り、鳥居にまつわる話をかわるがわる聞かせてくれる。
あまりにも当たり前の風景だが、こうやって修理する現場をみることでそれぞれの思い出がよみがえる。
今日、右の柱を引き上げると台石の柱穴の底にも小さな穴が開いていた。単純に考えると水抜きなのだが、どうなんだろう?
夕方になってなんとか笠木・島木がのった。
ミニユンボ、カニクレーン、ユニック、チェーンブロック、レーザー付き水平器、・・・土木、建築、測量、石工・・・ひとりの職人が仕事の領域を無視したように手際よく作業をこなしていく。単能化していく現代の技術者をあざ笑うかのようにわずか2日間で解体修理をやってのける。
それだけではない。変形した構造物は組み直すと「くるい」が出やすい。これを石造物の場合、安直に削り直すなどの再加工すれば比較的簡単におさめることができる。
しかし、文化遺産に理解のある「伝統職人」はそんなことはしない。先人の作ったものを、当時の職人の思いとともに残し、伝えるというスピリッツが根付いているように思えた。
学生たちは何を感じただろうか・・・・もくもくと作業する職人が伝えたかったメッセージはなんだったんだろうか。