7月15日
「ムカサリ」を知っている人?シーン…。 知らない人?…全員が挙手した。
やはり若者にとっては縁遠いことばだろう。
今回は県立博物館が所蔵する「ムカサリ絵馬」を実際に観察し、その絵がなにを描いているか考えるところから始まった。まず絵馬の取り扱い方の注意点を学び、実際に資料に触れて熟覧した。
昔の結婚式の絵であることはすぐわかったようだ。花嫁らしき女性が文金高島田で角隠しを被っている。さて、そこからがむずかしい…
ムカサリはやまがたの方言で結婚式のことを言う。ムカサリ絵馬は、未婚のまま亡くなった子供が挙げる結婚式の様子を絵馬にして神社に奉納したものを言う。この風習は山形県村山地方が盛んで東北地方に散見されるという。
亡き子への親の思いだけでなく、戦前の人間観、家族・社会観、霊観が顕著に表す風習で、実は現在も細々と続いていることを知った。ウェディングドレスの絵馬もあり、夫婦二人のみが描かれる。そこには結婚観や家族観など社会の変化が読み取れるという。若者にとって「結婚」や「死」という身近で普遍的なテーマだったせいかみな真剣に話を聞いていた。
そして、山形独特かのようにいわれるムカサリであるが実は、冥婚や霊婚といった形で、東アジアで2000年以上続いてきた習俗であること、ひろく世界を見渡すとアフリカにも存在することが説明された。民俗学や人類学のローカルとグローバルを行き来する面白みが伝わっただろうか。
スタッフや見学の学生たちが絵馬の開封や梱包を手伝わせてもらった。いい経験になったかな。
最後に、高校生たちも自主的に机の整理整頓、ごみの片づけを手伝ってくれるようになった。
あと1回で終わりと告げると「また、この続きやらないんですか?」とうれしいことを言ってくれる・・・。ありがとう