夏に調査した戸塚山古墳群の現地説明会と講演会が行われた。
現地見学会には90名余りの人が参加し、寒空の下1時間30分、調査成果に聞き入った。今回のイベントは地元上郷地区公民館、小中学校が主体となり、米沢市教委と協力して地域の歴史遺産を自らが学び、顕彰しようと企画したものである。
午後からは地元中学校の体育館を会場に記念講演会が行われた。広い体育館で、暖房がなかなか効かない。シンポジウムの時、壇上で寒くて震えたのは初めてだった。
懇親会のとき、記念講演の講師は、笑いをとれなかったことがもっと寒かった!と嘆いていた。
講演を聞く聴衆の姿勢にも地域差がある。以前、関西で講演した時、ちょっとしたジョークにお客さんが大爆笑してくれる。意外な反応に、こっちはもっと笑ってもらおうと策を練る。すべってもそれがまた笑いになる。そんな関係で講演が盛り上がるとしゃべったほうも達成感が味わえる。大阪は寄席の伝統からか、日常会話にも笑いのやりとりが不可欠とされる。
当の講演、実は大変面白くみんな心の中で大笑いしていたのだが。それを表に出して表現するのは失礼と感じる土地柄なのだ、と周囲からなぐさめれていた。よけい痛い・・・
ちなみに講師は生粋の大阪人。
体育館の壁には上杉謙信と鷹山の額が掲げられている。米沢市の小中学校はすべてそうなのだと。郷土の偉人をまつるのは先史時代から変わらぬ人の営みだ。現生を生きる首長や我々にとってそれは極めて政治的宗教的な行為なのだ。
周囲の話では昔は鷹山だけだったらしい。謙信が加わったのは新しいそうだ。上杉家の始祖と観念された「謙信」が祀られる。これは今日の講演のテーマ「古墳群形成における始祖墓と擬制的同祖同族関係」にぴったりの事象だった。あまり書くときな臭くなるのでこの辺で。