【公開講座】〈シリーズ:日本史最前線 ―教科書の一歩先― 〉「百姓」繚乱の江戸時代―東北の村人たちの生き方―
【公開講座】
〈シリーズ:日本史最前線 ―教科書の一歩先―〉
「百姓」繚乱の江戸時代―東北の村人たちの生き方―
日時/平成26年6月21日(土)13:30-16:00(13:00開場)
場所/東北芸術工科大学本館2階207講義室
入場/無料
主催/東北芸術工科大学東北文化研究センター
申し込み・問い合わせ/東北芸術工科大学東北文化研究センター(TEL023-627-2168)
【本シリーズのねらい】
本シリーズでお話しするのは、日本史研究における最近の成果です。
高校までの教科書に書かれた日本史の先、大学などで行われている研究の現場からの声をお届けいたします。
【プログラム】
13:30~14:00 中村只吾/趣旨説明「なぜ、今「百姓」なのか」
14:00~14:40 渡辺尚志/講演「江戸時代出羽国村山地方の百姓たち」
14:40~15:20 斎藤善之/講演「江戸時代三陸沿岸の大規模イエ経営体と村社会(仮)」
15:20~16:00 パネルディスカッション「東北の沿岸と内陸をつないで考える」
【開催にあたり】
現在よりも公私の境界が曖昧で、村や町といった地域社会の運営・維持が、今まで以上に一般庶民(百姓や町人)の手に委ねられていた江戸時代。その中心では、しばしば地域の〈顔役〉というべき人びとが存在感を発揮し、東北地方の場合に特徴的なのが、大規模な〈イエ経営体〉の存在でした。彼らは、農業、漁業、林業、海運業、金融業や商業など、多面的で大規模な生産手段や流通手段を持ち、地域の人々が働く場は、彼らの存在によって創出されていたところも大きかったようです。さらに彼らは、村役人を務めるなどして地域政治の核となり、文化人が頻繁に訪れるなどする地域の文化的先端にも位置していました。
ときに〈豪農〉とも呼ばれる彼らについて、従来は、その経済力などをもって地域の人々を従属させる支配者として評価し、地域住民との対立的構図で捉えられることも多くありました。それに対して近年の研究では、上記のような彼らの〈地域リーダー〉たる側面や、その他の村人たちの活力ある姿の掘り下げが進められてきました。本講座では、地域社会の〈顔役〉がもたらした光と影の両面をみながら、当時の東北地域社会、〈村社会〉に生きた人々の活力ある姿をお伝えできればと思います。
江戸時代、全国には63000余の村々があり、全国人口の約8割が〈百姓〉=村の住人で、現代に続く〈村社会〉の原形もまた、この時代に形作られました。しかし現在、そうした江戸期以来の〈村社会〉は、いよいよ根本的な変化を余儀なくされているのではないでしょうか。そうした状況下において、先人たちが地域を、村をどのように維持していたのか、いま一度きちんとふり返ることで、未来社会に活かしうる「発見」ができないだろうか。そのような現代的関心をも胸に研究を続けている歴史研究者による講座をご堪能ください。具体的に取り上げるのは、出羽国村山および三陸沿岸の村々と〈百姓〉たちです。