歴史遺産学科

歴史/考古/民俗・人類
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2014-07-14

【考古学応用演習1】日向洞窟発掘調査に向けて ― 考古学と地形学



今年も発掘の時期になってきた。士気も高まり、準備も着々と進んでいるところだ。2年生の応用演習も発掘の実際に則した内容になってきている。今回は、その応用演習の一環として、岩手県立大学の菊池強一先生にお越しいただき、クリノメーターを用いた測量や考古学と地形学との関わり等についてご教授頂いた。2年生の講義であるが、発掘に参加する上級生も参加し、お互いに教えあいながらの講義となった。菊池先生には昨年もお越しいただいていており、その時の記事はこちらより閲覧できる。

 

考古学と地形学というとあまり結びつきがないと思われるかもしれないが、遺跡としてトータルで捉えるときに地形学や堆積学的な情報は極めて重要である。菊池先生は、「石器も堆積物のひとつ」と仰っており、私達は普段、石器や土器を単体で特別な視点から見てしまうが、堆積物の一部と捉えることでまた違った側面が浮かび上がってくる。

発掘という行為は、一度行ってしまえば元に戻すことは出来ない。そのために、図や写真などできちんと記録として残すことが重要となる。特に、考古学に於いては位置情報が重要な意味を持つ。位置情報の記録については、遣り方測量や光波、トータルステーションによって3次元的な遺物の位置情報の獲得が行われてきた。

今回学んだ産状計測は、さらにそこに傾きという位置情報を加える手段である。クリノメーターを用いた測量は、地学の分野ではよく行われており、走向と傾斜を測るものである。この情報が加わることで、当時の地表面であったり、遺跡の立地環境についてさらに検討を深めることができる。

 

先生は、ただ単に機材の使い方を教えて下さるだけでなく、その機械の原理であったり、なぜその計測が必要なのかを丁寧に説明して下さった。最初は正直どうしていいのかよく分からない講義だったが、時間が経つにつれ、点と線がつながる、理解が深まる講義だった。今回は、台風の影響で室内での演習だったので、今度晴れた日に先輩や後輩と外に出かけて、理解をさらに深めたいと思う。

 

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