【「戦略」公開講座報告】「縄文の美 —実用性を遥かに超える芸術的表現—」(1月28日)
2015年1月28日、本研究センター教授の安斎正人による公開講座「縄文の美 —実用性を遥かに超える芸術的表現—」を開催いたしました。本講座はまた、今年度一杯で本学を退職予定である安斎の最終講義でもありました。
日本文化の源流ともいえる縄文文化。そこでは、数多くの土器や土偶が生み出されました。それらの中に、時期と地域を限って作られた、ひときわ目に着く造形・装飾の遺物があります。機能性・効率性・利便性などをあえて否定するような造形美を有する、実用性をはるかに超える芸術的表現といえるものです。安斎はこれを“過剰デザイン”と呼び、アイデンティティの表現と結びついた、社会的メッセージが込められていると説いています。今回の講座では、山形県内のものを含めた、当時代を代表する土器・土偶の逸品のいくつかを取り上げ、安斎が長らく研究テーマとしてきた縄文社会の構造変動に関する話を交えながら、それらが制作された社会的な背景などについて語りました。
いにしえの造形に秘められた縄文のこころに触れられたように思います。
当日は、大変多くの方々にご来場いただき、また、会場からのご感想やご質問も多くいただきまして盛況のうちに終了いたしました。
(佐藤未希)