【企画展】「蘇りの青苧ものがたり」
企画展「蘇りの青苧ものがたり」
【日 時】
平成24年2月22日(水)〜29日(水)
8:45〜17:00(土曜12時閉館、日曜休館)
【場 所】
東北芸術工科大学図書館2階 ガレリア・ノルド
入場無料
【主催(共催)】
東北芸術工科大学東北文化研究センター
青苧復活夢見隊、大江町教育委員会
【協 力】
東北芸術工科大学文化財保存修復研究センター
【お問合せ】
東北芸術工科大学東北文化研究センター
〒990-9530 山形県上桜田3-4-5
TEL023-627-2168 FAX023-627-2155
E-mail:tobunken@aga.tuad.ac.jp
【ギャラリートーク】
平成24年2月25日(土)10:30 – 11:30
村上弘子(青苧復活夢見隊)
大山龍顕(文化財保存修研究センター)
岸本誠司(東北文化研究センター)
開催によせて
青苧(あおそ)とは、南アジアから日本を含む東アジア地域まで広く分布するイラクサ目の多年生植物です。寒冷のため綿花の栽培ができない東北地方では、人々の日常的な衣類は、青苧をはじめ麻やシナノキなどの植物から採った繊維でつくられていました。江戸時代になると、置賜地方や村山地方などで栽培された青苧が、最上川舟運で各地へ運ばれ、奈良晒や小千谷縮といった高級織物の糸となり、武士の裃や富裕階級の単衣などに使われていました。当時は、紅花とならぶ特産品のひとつとして地域の経済を支えた作物だったのです。しかし、明治以降養蚕が盛んになるにつれ、山形県内の青苧栽培は衰退していきました。
山形県大江町は、「羽州青苧」の中心的な生産地のひとつでした。江戸時代、青苧は松山藩左沢領の第一産物として保護、育成されてきました。それは、嘉永6年(1853)左沢代官所に提出された大泉次郎右衛門家の文書に「産物第一之青苧」という記述がみえることからもうかがい知れます。また、宝暦年間から明治時代にかけて、大江町内中の畑雷神社に奉納された青苧で作られた幕「御戸帳」(計59点が町指定文化財)は、当時の人々の青苧に対する思いを示すものです。
現在、大江町では、青苧にまつわる地域の歴史文化を後世に伝えるための取り組みが進められています。その中心となっている団体が、2008年に発足した「青苧復活夢見隊」です。代表の村上弘子さん、大江町橋上の「橋朗クラブ」をはじめ約30名のメンバーは、地域で失われつつあった青苧の栽培と青苧から繊維を取り出す「苧引き」の技術を復活させました。さらにはその青苧糸を加工し、バック・テーブルセンター・マフラー・のれんなどの商品を作り出し、また青苧の若葉を利用した「青苧うどん」などの食品も誕生させるに至っています。東北文化研究センターと本学の有志学生は「青苧復活夢見隊」の活動に共感し、「青苧焼き」や「苧引き」などの作業を共にしながら、数年間に渡って勉強を重ねてきました。
この企画展「蘇りの青苧ものがたり」では、青苧文化の復活に取り組む地域の人々の内発的な活動を紹介するとともに、本学文化財保存修復研究センターによって修復処置がなされた「御戸帳」を公開いたします。自身の足もとにある歴史や文化に光を当て、人々が集い繋がり、地域の将来を考える取り組みとして注目されるものです。
なおこの企画展は、本学文化財保存修復研究センターの協力を得て、本学東北文化研究センター、青苧復活夢見隊、大江町教育委員会の共催で開催いたします。
岸本誠司(東北芸術工科大学東北文化研究センター講師)