【「戦略」調査報告】中国東北部第1回現地調査:2013年3月9日-19日
この春、内モンゴル自治区と黒龍江省の遊牧民の集落を訪ね、エヴェンキ、オロチョン、ダフール族という中国東北部の少数民族の生業と定住化の問題について調査を行いました。
北京から飛行機で内蒙古自治州の海拉尓(ハイラル)へ。そこから車で根河市やオロチョン自治区のある阿里河鎮などをまわり、ハルピンまで行きました。
現地では、鄂温克(エヴェンキ)博物館や馴鹿(トナカイ)文化博物館を見学し、地元の方々との交流を通して、少数民族政策をはじめ中国の国家政策が地域の牧畜農耕生活と民族文化にどのような影響を与えていたのか、話しを聞きました。
また、オロチョン族の民族郷やトナカイエヴェンキ族の定住集落(敖鲁古雅民族郷)にも赴き、ノロジカやイノシシの飼育を営むオロチョン族の伝統的毛皮衣装の素材、製品産出を行っている方を訪問しました。
これらの調査を通して、「人間と土地の関係」、「民族文化伝承の取捨選択」、「人間と生態環境」、「人間にとって、住まいとは何か」といった問題や、近代以降の定住化による生活様式の変遷と伝統文化継承のあり方について、それぞれの民族が経験してきたことを聞きました。自然災害や人為的な災害のために従来の生活様式を変えざるをえなくなったとき、新しい環境へ適応するには、何が必要なのかについて、また日中間における「地域」の考えの違いについて、考えさせられる旅でした。
(謝 黎)