【「戦略」公開講座報告】「縄紋時代の集落変遷」
2012年11月14日、公開講座「縄紋時代の集落変遷」を開催しました。講師は本研究センター教授の安斎正人と、山形県埋蔵文化財センターの小林圭一氏です。
安斎は、6月におこなった公開講座の内容に触れながら、青森県の三内丸山遺跡を取り上げ縄紋時代前期から中期にかけての居住地の移り変わりを当時の気候変動と関連させながら説明しました。一方、小林氏は山形県最上川流域にある数カ所の遺跡を取り上げ、同じ縄紋時代前期から中期にかけての集落構成について、現場の写真を示しながら説明されました。そして、縄紋時代前期初頭には定住的集落が成立し、その後、中期にかけ大規模環状集落が発達してゆくものの、中期末葉にはそうした大規模集落が崩壊してゆく、といったプロセスを紹介されました。また中期にみられた大規模集落の例として、尾花沢盆地に位置する西海渕遺跡を取り上げ、同年代の岩手県西田遺跡と集落構成を比較し、その特徴についても言及されました。具体的な考古資料を見せていただくことで、「縄紋時代」としてひとくくりにできないような集落のダイナミックな変化が、前期から中期にかけての数千年の間にみられたことを実感することができました。
(蛯原 一平)
参加者数:42人