活動報告

【「戦略」調査報告】「阿仁根子」ブックレット作成のための第3回現地調査:伝統的罠(ヒラオトシ)の記録と集落調査

 

「戦略」では、学生たちによる集落調査と、その結果をまとめたブックレット作成を研究活動の一つとしています。その調査地の一つが秋田県北秋田市阿仁根子集落です。去る11月1日から4日まで、歴史遺産学科の学生7人が参加し、3回目の現地調査をおこないました。
今回は、前回に引き続き阿仁根子での集落調査を実施したほか、クマ捕獲用の重力罠「ヒラオトシ」の記録もおこないました。この罠は、鳥獣法(「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」)では現在、使用が禁止されていますが、北秋田市がすすめている伝統的狩猟技術の記録という学術目的で復元されたものです。8月に復元調査をおこなったウッチョウ同様、この罠も秋期を中心に、人里近くの森林でかつて仕掛けられていたものであり、その記録は当地域の狩猟、あるいは生業を理解する上での貴重な資料となります。
ときおり雹が降る悪天候のなか、かつて作ったことのある猟師たちを中心として罠の復元がおこなわれました。しかし、用いられなくなって久しく、また参加された猟師の大半が作製経験のないこともあって作業はてこずっていました。復元記録作業を通しての技術伝承の重要性についても考えさせられました。
何とか完成し、作動実験も無事成功。その後、大急ぎで学生たちは罠の寸法を実測し、簡易的な記録をおこないました。体が冷え切ったため終了後、急いで打当温泉へ。湯煙のなか、まさに生き返る心地でした。

(蛯原 一平)