2015.08.19
キッズアートキャンプ山形2015|無事終了しました
キッズアートキャンプ山形2015が8月8日~10日の3日間の日程で開催されました。
南相馬市のご家族10組、約40人にご参加いただき、スタッフ含め大きな怪我もなく無事終了することが出来ました。10日の成果発表では約140人の来場者があり、満員御礼の大盛況となりました。
また、8月22日(土)には「未来の祀り∴ふくしま」にて再上演を行いますので、皆さん是非足をお運び下さい。
http://blog.tuad.ac.jp/trso/news/1398.html
以下、学生スタッフのレポートです。
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キッズアートキャンプ2015影絵芝居「ヘビワヘビワ~南相馬市小高区大悲山の大蛇伝より~」に学生スタッフとして参加しました。
南相馬市小高区に伝わる大蛇伝を、影絵師の川村亘平斎さんとともに、南相馬市の10家族とともに影絵芝居として上演するプログラムでした。
今回のキッズアートキャンプを終えて、ある土地の物語を読んだり聞いたりして記憶にとどめることと、その物語の世界を身体的な感覚として知っていることの違いについて考えました。物語の世界を身体的な感覚として知るということはつまり、物語の一部になっているという実感であり、それを遠い世界の出来事や昔のこととして眺めているのではなく、その内側に入り込んで世界を見渡すことなのではないかと思います。
川村さんが影絵を学んだインドネシアのバリ島では、「日常」と「伝承や信仰」に境目はなく、伝承を伝える影絵の上演も日常生活の延長線に行われるそうです。そんな土地ではきっと、人々はその土地だけの物語や伝承を通して世界を見るということを当たり前のこととして続けているのでしょう。そんな、現代日本人が忘れてしまったような物語との関わり方を、今なお物語とともに生活する文化が息づくアジアから教わった川村さんが旅の芸能者のように、南相馬市小高区大悲山の大蛇伝に新たな解釈を加え再構成してくださり、南相馬市の参加者ひとりひとりが影絵芝居の一部となって物語を体験できる時間になったのではないかと感じました。
上演後のクロージングパーティーで、南相馬市からの参加者の方が、芝居の登場人物となった自身のご先祖に想いを馳せながら、「自分たちの世代は震災を経験しているけれど、自分たちの先祖も大蛇に表されるような自然とたたかっていたことがわかった」という話をされていたのが印象に残っています。芝居の中では、大蛇とたたかうための長い剣のような「鉄の釘」を手にした村人役の子どもたちが、恐ろしい大蛇に挑む勇敢な村人になりきっていました。舞台の上で大蛇を演じていたのは子どもたちの家族(お母さん、お父さん、お兄さん、お姉さん)で、最後に大蛇を倒す場面を楽しみに「僕、お母さんを倒すんだ!」と話していた子どももいました。大人たちもまた、恐ろしい大蛇を精一杯演じていました。そして子どもは、大人の演技を見てびっくりしたり、更に真剣になったり。物語を伝えていくのは、言葉だけじゃない。きっと、こんな風に「芸能」を通して家族や親戚、同年代の友達と一緒に体験していくことと、そんな時間を積み重ねていくこと。それが、語り続けられてきた物語に生命を与えていくことなんだと感じました。
是恒さくら(大学院修士課程)