14日目。宮島達男先生によるスペシャル対談。
2012/11/08
今日は副学長の宮島達男先生(現代美術家)にスペシャルゲストとしてお越しいただき、
大変充実した時間を皆さんと共有することができました。
14時からという時間帯にも関わらず、こうして多くの学生が集まってくれたのは、
やはり「宮島先生の生の声が聞きたい」という気持ちの表れなのでしょう。
宮島先生はこの会場に以前も脚を運んでくださいましたが、
本日もトーク前にかなり時間をかけて回っていただきました。
会期中に行われたイベントやトークを振り返る写真のスライドショーをお見せした後、
率直な感想やご意見をお伺いしました。
「6年間この大学にいる中で、このような展覧会は初めてで、
インテレクチュアルなものだと思いました。
コンセプチュアルの深いもので、学生にとっては考えさせるような展示で、
想像力が膨らむ空間になっています。
《はじめに言葉ありき》というように、
言葉があって人間の思考が成り立つという原初的なものを深く追求するこの展示は、
この大学では非常に珍しいもの。
《他者の声に真摯に耳を傾ける》という仕組みができていて、
想像力が膨らむ空間になっています。」
という最大のほめ言葉をいただきました。
「人間の声は楽器だから、聴いている人に共振するんです。
バイブレーションを発したときに、その人の気持ちや想いが強いと、
それは相手に伝わると思いますよ」
そうなんです!
話し手の想いがダイレクトに伝わるのがトークショーなんです。
それをまさしく体感してもらいたくて、毎日ライブでトークを続けてきました。
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学生からも意見や感想をお伺いしました。
キャンドルナイトなどを企画した建築・環境デザイン2年の笠原君。
トークにも連日、来ています。
宮島先生から
「うまく自分の言葉を使い尽くして、プレゼンテーションできるように」
とアドバイスをいただきました。
《自分の言葉を伝えること》は、とても重要です。
キュレーションチームを引っ張っていってくれた、日本画3年の上遠野さん。
今日もビデオの撮影を担当しています。
「展覧会が出来上がっていくプロセスを見ることができて、
アーティストとキュレーターが毎日自分たちの前で動いていく姿を見て、
それが出来上がっていくのを見ていて、すごいなと、素晴らしいな、と思いました。
自分自身がこういう現場に立ち会えることができて、
すごく勉強になったし、刺激になりました。」
それに対して宮島先生は、
「アーティストはひとりでは展覧会はできないんです。
美術館や他のスタッフがいて、初めて出来るものなんです。
展覧会を作るのも、ひとつのアートで、君はpart of itなんです。
展覧会をすごいなと君は思っているかもしれないけど、
実は君もそれを作っている一人なんです」
学生スタッフの協力なしでは、展覧会は成し得なかったのは本当です。
展覧会準備も含めて、会期中もお客様を受付でお迎えしたり、
ハンモックの内部の音をセッティングしたり、
カセットテープの貸出を行ったり、
イベントの準備や後片付けをしたり、
毎日よく働いてくれます。
感謝の気持ちでいっぱいです。
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時間はあっという間に過ぎてしまいました。
最後に会場のみんなと記念撮影。
親指を立てて、「いいね!」ポーズをとります。
「この時代に言葉を信じようとしている姿勢が、明るくていいですね」
というコメントをいただきました。
明るい未来を信じて、
自分の気持ちや想いを誰かに伝えていく(表現していく)ことがとても大切なんだと、
改めて感じました。
この展覧会にはそうした《想いを残していくこと》も含まれています。
「記憶の森」のインスタレーションでは《言の葉》にメッセージを託すことができます。
これは展覧会会期後、大学の図書館でアーカイブとして残されます。
まだの方は是非、自分がこの大学にいた存在意義や、
未来に対するメッセージを残していってほしいと思います。
宮島先生を囲んで、充実したひとときを過ごせたことを幸せに思います。
どうもありがとうございました。
和田菜穂子(キュレーター)