14日目。宮島達男先生によるスペシャル対談。

今日は副学長の宮島達男先生(現代美術家)にスペシャルゲストとしてお越しいただき、

大変充実した時間を皆さんと共有することができました。

14時からという時間帯にも関わらず、こうして多くの学生が集まってくれたのは、

やはり「宮島先生の生の声が聞きたい」という気持ちの表れなのでしょう。

宮島先生はこの会場に以前も脚を運んでくださいましたが、

本日もトーク前にかなり時間をかけて回っていただきました。

 

会期中に行われたイベントやトークを振り返る写真のスライドショーをお見せした後、

率直な感想やご意見をお伺いしました。

「6年間この大学にいる中で、このような展覧会は初めてで、

インテレクチュアルなものだと思いました。

コンセプチュアルの深いもので、学生にとっては考えさせるような展示で、

想像力が膨らむ空間になっています。

《はじめに言葉ありき》というように、

言葉があって人間の思考が成り立つという原初的なものを深く追求するこの展示は、

この大学では非常に珍しいもの。

《他者の声に真摯に耳を傾ける》という仕組みができていて、

想像力が膨らむ空間になっています。」

という最大のほめ言葉をいただきました。

「人間の声は楽器だから、聴いている人に共振するんです。

バイブレーションを発したときに、その人の気持ちや想いが強いと、

それは相手に伝わると思いますよ」

 

そうなんです!

話し手の想いがダイレクトに伝わるのがトークショーなんです。

それをまさしく体感してもらいたくて、毎日ライブでトークを続けてきました。

 

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学生からも意見や感想をお伺いしました。

キャンドルナイトなどを企画した建築・環境デザイン2年の笠原君。

トークにも連日、来ています。

宮島先生から

「うまく自分の言葉を使い尽くして、プレゼンテーションできるように」

とアドバイスをいただきました。

《自分の言葉を伝えること》は、とても重要です。

 

キュレーションチームを引っ張っていってくれた、日本画3年の上遠野さん。

今日もビデオの撮影を担当しています。

「展覧会が出来上がっていくプロセスを見ることができて、

アーティストとキュレーターが毎日自分たちの前で動いていく姿を見て、

それが出来上がっていくのを見ていて、すごいなと、素晴らしいな、と思いました。

自分自身がこういう現場に立ち会えることができて、

すごく勉強になったし、刺激になりました。」

 

それに対して宮島先生は、

「アーティストはひとりでは展覧会はできないんです。

美術館や他のスタッフがいて、初めて出来るものなんです。

展覧会を作るのも、ひとつのアートで、君はpart of itなんです。

展覧会をすごいなと君は思っているかもしれないけど、

実は君もそれを作っている一人なんです」

 

学生スタッフの協力なしでは、展覧会は成し得なかったのは本当です。

展覧会準備も含めて、会期中もお客様を受付でお迎えしたり、

ハンモックの内部の音をセッティングしたり、

カセットテープの貸出を行ったり、

イベントの準備や後片付けをしたり、

毎日よく働いてくれます。

感謝の気持ちでいっぱいです。

 

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時間はあっという間に過ぎてしまいました。

最後に会場のみんなと記念撮影。

親指を立てて、「いいね!」ポーズをとります。

「この時代に言葉を信じようとしている姿勢が、明るくていいですね」

というコメントをいただきました。

明るい未来を信じて、

自分の気持ちや想いを誰かに伝えていく(表現していく)ことがとても大切なんだと、

改めて感じました。

この展覧会にはそうした《想いを残していくこと》も含まれています。

「記憶の森」のインスタレーションでは《言の葉》にメッセージを託すことができます。

これは展覧会会期後、大学の図書館でアーカイブとして残されます。

まだの方は是非、自分がこの大学にいた存在意義や、

未来に対するメッセージを残していってほしいと思います。

 

宮島先生を囲んで、充実したひとときを過ごせたことを幸せに思います。

どうもありがとうございました。

 

和田菜穂子(キュレーター)

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TUAD mixing! 2012 | 記憶の声 Voices of Memory

TUAD mixing! 2012
記憶の声 Voices of Memory

原高史×Responsive Environment
(西澤高男)

会期=10月22日[月]→11月8日[木]
会場=東北芸術工科大学 本館7階ギャラリー/本館前広場
(本館前広場でのインスタレーションは10月31日[水]まで)
休館日=10月28日、11月3日、4日
(日、祝日休)
主催=東北芸術工科大学
企画・お問い合わせ=美術館大学センター 
Tel 023-627-2091
Fax 023-627-2308
E-mail museum@aga.tuad.ac.jp
キュレーター=和田菜穂子

概要はこちら

*日時が変更になりました!

スペシャル企画①「声:言葉のもつ力 ~ぼくたちの未来宣言」
日時=10月31日(水)18:00-20:00(申込不要)
会場=本館7階ギャラリー
別会場=本館408(会場が満席の場合は、別会場にてU-streamで視聴できます)
ゲスト=山川健一(作家、本学文芸学科長)、竹内昌義(建築家、本学建築・環境デザイン学科長)
アーティスト=原高史、西澤高男
司会進行=和田菜穂子
USTREAMはこちらから
音声のみ(全記録)

スペシャル企画②「記憶と風景 ~忘れられない風景について」
日時=11月8日(木曜日) 18:30-20:00(申込不要)
会場=本館7階ギャラリー
別会場=本館201(会場が満席の場合は、別会場にてU-streamで拝聴できます)
ゲスト=五十嵐太郎(建築史家、東北大学教授)、根岸吉太郎(映画監督、本学大学長)
アーティスト=原高史、西澤高男
司会進行=和田菜穂子
USTREAMはこちらから

イベントスケジュール1週目~(10月22日~)
イベントスケジュール2週目~(10月29日~)

展示コンセプト

本館7階ギャラリーを6つの部屋に区切ります。

Room #1 声の灯火  Light with Voices
複数の声が飛び交い、闇の中でほたるのように点滅する小さな灯。消え入りそうなか細い声や、自信に満ち溢れた快活な声。様々な声が交差する異空間が、これから始まる展示空間へと誘います。展覧会「記憶の声」の導入部。西澤高男のインスタレーション。

Room #2 声プロジェクト Introduction of “Coe Project”
今年4月よりスタートした「声プロジェクト」は、ふたりのアーティストと、本学の学生・教員が協力しあい、進めてきたプロジェクトです。今までの経緯と展覧会の概要説明を行います。

Room #3 記憶の風景 Landscape into your Memory
「あなたにとって忘れられない風景は何ですか?」
目を閉じれば、頭の中に思い浮かぶ風景。忘れられないひととき。人生を変えたひと言。インタビューした中から選りすぐりの声を、雲の上にいるような心地で、リラックスしながら体験してもらいます。
*体験型展示(予約制)。

Room #4 追憶の場所 Remembrance
学生と先生が1対1で対話したインタビュー集をじっくり拝聴する空間。7階から山形の風景を眺めながら、先生の声にじっと耳を傾け、追憶の風景をイメージします。

Room #5 記憶の森 Forest into your Memory
人の「記憶」というものは時の経過とともに、おぼろげなもの、不確かなものへと変化していきます。この空間は「記憶の森」です。心の奥底に眠る「記憶の声」を呼び起こし、各人の「記憶の断片」は<言の葉>となって、空間を埋め尽くします。原高史のインスタレーション。

Room #6 小さな物語 A Small Tales - Pocketbook -
溶けだしたキャンドル、横向きもしくは後ろ向きの少女、動物のシルエット。それらひとつひとつは、黒く縁どられた窓の中に<小さな物語>として描かれています。原高史が数年に渡りインタビューを繰り返してきた中で、彼の心のポケットに集められたモチーフたちです。彼独自の世界観が表現されています。新作(平面作品)の展示。

Outside 声の広場 Open Space “Coe”
本館前広場は期間限定で様々な「声」が集い、交差する場に変容します。そこに並べられた「白い椅子」にはQRコードが貼られ、先生や学生のインタビューの声が収められています。「白い椅子」の配置の変化は、インスタレーション作品のひとつとなります。<声の広場>で繰り広げられる、「白い椅子」を使った各種イベントは、人々の心に「新しい風景」として記憶されることでしょう。

Artist

原高史|Takafumi Hara

原高史|Takafumi Hara
現代美術家。東北芸術工科大学デザイン工学部グラフィック学科准教授。1968年東京生まれ。1992多摩美術大学大学院絵画学科油画専攻修了。200-2002年ドイツ・ベルリン滞在。平面作品の他、ワークショップやプロジェクト型のアート活動を国内外で幅広く展開している。歴史的建造物の窓にその土地固有の記憶や、人々の思い出にまつわるパネルを展開していく窓プロジェクト《Signs of Memory》は、人と人との対話から生まれるアートである。今回は7階で平面作品(新作)を出品するほか、白い椅子を使った屋外でのプロジェクト型インスタレーションを展開する。
http://takafumihara.jp/

西澤高男|Takao Nishizawa

西澤高男|Takao Nishizawa
建築家・メディアアーティスト。東北芸術工科大学デザイン工学部 建築・環境デザイン学科准教授。1971年東京生まれ。1995年横浜国立大学大学院工学研究科計画建設学専攻修了。建築設計事務所"buildinglandscape"、及びメディアアートユニット"Responsive Environment" 共同主宰。

Responsive Environment
空間に関わる様々な領域をクロスオーヴァーするコラボレーションにより、空間表現を行うユニットである。1993年の結成以来、様々なパフォーマンス、インスタレーションや建築に関わる作品の制作、プロジェクトの発表を行ってきた。2004年より本学プロダクトデザイン学科専任講師の酒井聡もメンバーとして加入。松島紅葉ライトアップ、車座 -Post Peak Oil Orchestra-(谷川俊太郎/覚和歌子 詩の演出)、東京カテドラル聖マリア大聖堂マルチメディア空間パフォーマンスなど、照明装置を使ったインスタレーション多数。
http://www.responsiveenvironment.com/