活動報告

【「戦略」調査報告】北陸地方における縄文集落の遺跡調査:黒姫洞窟遺跡の発掘補助(10月26日〜27日)

芸工大生による調査の様子(黒姫発掘)

 

本調査では、新潟県黒姫洞窟遺跡(調査主体:魚沼市教育委員会・魚沼地域洞窟遺跡発掘調査団)における第13次発掘調査に参加して、北陸地方における洞窟遺跡群の形成過程に関わる知見を得ることを目的としたものです。
10月26日、東北芸術工科大学文化財保存修復センター前に集合した一向は、現地黒姫洞窟遺跡に赴き、縄文時代草創期段階における発掘調査、および掘削土の水洗選別作業を行いました。初めに13次にわたる黒姫洞窟遺跡発掘調査の歴史と発掘調査の意義、成果などについて、津南町教育委員会の佐藤雅一氏よりご説明いただきました。その後、洞窟入口手前を流れる渓流水を利用して、水洗選別作業等の発掘調査補助をさせていただきました。この作業は2mmメッシュの篩桶を各自が利用して、洞窟内でグリッド・層位別に掘削した土を洗って、その中に微細な土器・石器資料の他、炭化物等の取りこぼした有機質資料を回収する目的で行われます。本学参加学生の一人は、この水洗選別作業により炭化物数点を検出しました。翌27日は天候・発掘事情により、午前中から近隣資料館にて火炎土器特別展示を見学。その後、新潟県阿賀町・国指定史跡小瀬が沢洞窟、室谷洞窟の見学を済ませ、洞窟前面を流れる室谷川を現地踏査。河川敷の礫種構成を観察しました。
黒姫洞窟は、縄文時代草創期から弥生時代にかけて長期間にわたり断続的に利用されたと考えられている学史的遺跡のひとつです。精緻な学術的発掘調査を10余年の長期にわたり継続している稀有な洞窟遺跡であります。調査に参加させて頂くことで、洞窟遺跡の形成過程を考える上での豊富な知見を得ることができたように思います。
ここでの発掘調査・現地踏査による経験は、次年度も本学で実施予定の日向洞窟遺跡発掘調査において活かされるものと期待しています。

 

(長井謙治)

黒姫洞窟の調査の様子