お知らせ

平成22年度文部科学省オープン・リサーチ・センター整備事業「東北地方における環境・生業・技術に関する歴史動態的総合研究」 公開講座「マグロ漁とクジラ・イルカ猟」

平成22年度文部科学省オープン・リサーチ・センター整備事業
「東北地方における環境・生業・技術に関する歴史動態的総合研究」

公開講座「マグロ漁とクジラ・イルカ猟」

開催にあたり
 およそ1万1000年前、氷河時代が終わって、地球は急激な温暖化が始まりました。それに伴って、日本列島の西部にイチイガシなどの照葉樹林が、東部にブナなどの落葉広葉樹林が広がりました。縄紋の森の文化の始まりです。時を同じくして、それまで100メートル以上低かった海面が急上昇を始めました。いわゆる「縄紋海進」です。縄紋の海の文化の始まりです。
 海面が上昇して各地に内湾が形成されると、縄紋人は海での生業に乗り出して、たくさんの貝塚を残しました。貝塚からはマダイ、スズキなど内湾に生息する魚以外に、カツオ、マグロなど回遊魚の骨も出ます。近年、石川県真脇遺跡から300体以上のイルカの骨が出て話題になりましたが、イルカの骨も各地の貝塚から出ています。九州島と平戸島の間の平戸瀬戸に九州島から突き出た「つぐのはな」という岩礁とその基部で、1971年に小規模の調査が行われ、「石銛」と見られる尖頭器が多数出ました。遺跡からは海獣骨(クジラ類)が出ており、早期末(7000年前ころ)に瀬戸が開いた直後の100〜200年間に限られて、クジラ猟が行われていたと推測されています。縄紋人の海獣猟、大型魚漁の伝統は一万年の時を経て現在に続いているのです。
 現在、クジラおよびイルカの捕獲の是非に関する国際的な論争、摩擦問題が生じています。マグロに関してもその乱獲・絶滅が問題視されています。私たちはこれらの問題を直視する必要があります。そのためにも、私たちの足元、それらの猟漁の伝統を知っておかねばなりません。今回は、その道具(回転式銛頭)の研究を基礎にして、世界の捕鯨を研究しておられる山浦清氏、駿河湾の近世漁村を研究している本学の中村只吾研究員にお話しいただきます。

日時:平成23年1月18日(火)18:00〜19:50(開場17:30) 
会場:東北芸術工科大学本館3階306講義室
入場:一般1,000円、他大学生500円、高校生以下、本学学生・教職員無料(要申込み)

プログラム
18:00-18:10 はじめに(安斎正人)
18:10-18:40 中村只吾「江戸時代のマグロ漁と人びとの暮らし」
18:40-19:40 山浦 清「日本と世界の捕鯨の歴史」
19:40-19:50 質疑応答

主催:東北芸術工科大学
企画・問合せ・申込み:東北芸術工科大学東北文化研究センター
住所:山形市上桜田3-4-5 TEL :023-627-2168 FAX :023-627-2155
E-mail:tobunken@aga.tuad.ac.jp