お知らせ

【公開講座】縄紋集落と気候変動

日 時:平成24年6月20日(水)18:00−19:45(開場17:30)

会 場:本館2階207講義室

入場協力金:一般1,000円、他大学生500円
      高校生以下・東北文化友の会会員・本学学生・本学教職員無料
      ※事前のお申し込みが必要です。

企画・申込先:東北文化研究センター(図書館2階・Tel:023-627-2168)
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【開催にあたり】
  昨年3月11日の東日本大震災の衝撃で、いまだ茫然自失のなか、6月21日に「自然災害と縄紋人―自然への祈り―」と題して話をした。そして今年1月18日にも「気候温暖化と縄紋人」と題して話した。いずれも、被災者たちの直接的な力になれない私なりに、私たちの祖先たちが大きな災害からどのように立ち直り、新たな生活を築いていたか、私が専門にしている縄紋時代の考古資料の中に探って、これからの東北を考えていくための礎としたいと考えたからである。1年を経過した今回は、一応の総括として「縄紋集落と気候変動―長期集住と分散居住―」と題して話してみたい。
  完新世の暖かい気候に適応したのが縄紋文化だと言われてきた。しかし最近の古気候学的なデータによって、縄紋時代においても、8,200年前頃、5,800年前頃、4,300年前頃、2,800年前頃に急激な寒冷化があったことが分かってきた。気候が温暖で、落葉広葉樹や照葉樹の堅果(ドングリ)類など植物性食料の収穫量が複数世帯を通年、しかも長期にわたって維持できた時期(多数の竪穴住居をもつ集住集落)に終止符が打たれ、収穫量が1〜2世帯しか維持できない時期(1〜2軒の竪穴住居の分散居住遺跡)、季節的に移動して多種の食料を利用する必要のあった時期(集石遺構や土器の分布は見られるが、竪穴住居は未検出の移動的居住遺跡)へ、といった居住形態の変化が認められる。そして気候・環境の回復に伴って、再び新しい形態の集落が形成されたのである。
  鹿児島県の早期の集落の変遷、青森県の前期〜中期の集落の変遷(三内丸山遺跡など)を例として見ていきたい。

東北芸術工科大学東北文化研究センター教授
   安斎 正人 【公開講座】縄紋集落と気候変動―長期集住と分散居住―