活動報告

【「戦略」公開講座報告】「縄紋集落と気候変動―長期集住と分散居住―」

 

去る6月20日、本研究センター教授、安斎正人による公開講座「縄紋集落と気候変動―長期集住と分散居住―」を開催しました。
温暖な気候のなか自然の豊かな恵みを受け発達したと考えられがちな縄紋文化。しかし、近年の古気候学的研究からは、縄紋時代においても幾度か急激な寒冷化があったことが分かっています。本講座では、そうした研究成果にふれつつ、それらの気候変動が縄紋時代の人々の居住形態や、土偶・石斧といった出土遺物の多寡にどのような影響を及ぼしたかについて解説がなされました。普段はあまり見聞きすることのない、南九州(鹿児島県)の鬼ヶ野遺跡や上野原遺跡といった縄紋時代早期の事例が示され、とても新鮮でした。そして気候変動や巨大噴火といった自然の力が、いかに当時の人々の暮らしを劇的に変化させたかについて学ぶことができました。

(蛯原 一平)

参加者数:52人