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【公開講座】出羽三山の宇宙〜羽黒山の開山伝承と景観のコスモロジー〜

【公開講座】出羽三山の宇宙~羽黒山の開山伝承と景観のコスモロジー~

日時 平成25年1月26日(土) 13:00-14:00(開場12:30)
場所 東北芸術工科大学本館4階407講義室
入場料 無料(※事前のお申込みが必要です。)
企画・申込先 東北芸術工科大学東北文化研究センター(図書館2F、電話023-627-2168)

【開催にあたり】
 修験道では、重要なことは秘密にされ奥に隠されている。羽黒山の開山伝承も宗教色が強い物語のために荒唐無稽な内容のようにみえる。しかし出羽三山の景観と対応して伝承を解読してみると、巧妙に出羽三山の自然が読み込まれている。本講座では、神道体系本の『羽黒山縁起』をテキストにして、羽黒修験の思想やコスモロジーについて考察したい。
 羽黒修験では、能除太子という怪異な容貌の謎の人物を開祖と仰ぐ。能除太子は崇峻天皇の皇子といい、後に蜂子皇子ともいわれるようになる。開山縁起では、能除太子が三本足のカラスに導かれて羽黒山に分け入り、聖観音が出現して羽黒山を開き、次いで月山、湯殿山と、出羽三山を開いたストーリーになっている。
 羽黒修験は、羽黒山の本地仏を聖観音で太陽とするが、三本足のカラスは太陽の象徴、あるいは太陽の使者である。近世の開山縁起では、能除太子が舟で由良の浜に着き、東をめざしカラスに導かれ羽黒山を開いたことになっている。地図上でみると、これら開山縁起の物語が真西から真東の直線状に創られている。つまり太陽である羽黒山の本地仏・聖観音と太陽の使者・カラスの物語が太陽の東西軸の上に創られているのである。
 このほか羽黒修験が重視する羽黒三所権現の南北軸上にも聖地が創られており、周囲の鳥海山や葉山も含めてマンダラ宇宙になっている。修験道の自然に対するダイナミックな身体感覚は、ワビ・サビといった閉ざされた自然観とは対極にあるといってよい。
                   東北芸術工科大学東北文化研究センター研究員・大学院教授
                                          内藤正敏

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